2019年4月の記事で、ルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)の代理店リストラについて解説した(関連記事)。現在16社存在する正規代理店を6社に絞り込む計画で、これが半導体商社業界の再編を加速する可能性があると主張したが、早くもその動きが現れ始めたようだ。

 2019年5月13日に、ルネサスの代理店の1社である菱洋エレクトロの株式20%がレスターホールディングスによって保有される、という発表があった(ニュースリリース)。レスターホールディングスは、国内独立系ヘッジファンドのシンプレクス・アセット・マネジメントが保有していた菱洋エレクトロの株式536万株(全発行株数の20%)を1株2000円で買い取ることを取締役会で決定したのである。2019年5月13日時点での同社の株価は1575円だったので、約27%のプレミアムを付けての買い取りの計算になる。

 菱洋エレクトロは2019年5月13日に「当該発表の内容は当社として正式に確認したものではございません」というコメントを発表し、その後2019年5月21日に「主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」を発表した。

 この株式取得が両社合意の元に行われたものでないのであれば、レスターホールディングスによる「敵対的株式取得」となる。しかしシンプレクス・アセット・マネジメントを交えた3社による話し合いが水面下で行われていた可能性もあるだろう。規模を拡大したいレスターホールディングス、単独での生き残りが困難になりつつある菱洋エレクトロ、取得株のEXIT先を探していたシンプレクス・アセット・マネジメントと、3社の利害が一致して、このようなアクションが発生した可能性だ。その場合は、レスターホールディングスによる菱洋エレクトロの株式取得が20%で終わる可能性は低く、TOB(株式公開買い付け)を実行してでも50%以上を取得して連結傘下に収める、というのが最終的な目的に思えるのである。

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