WSTS(世界半導体市場統計)は2019年6月4日、2019年の世界半導体市場を前年比12.1%減のマイナス成長という予測を発表した。この数値はおおむね予想の範囲内でサプライズはなかったが、昨今の半導体市場における各社の動きや業界動向に注意していると、2019年後半(7月以降)に大きな転機が訪れるような気がしてならないのは筆者だけだろうか。WSTSの最新予測と照らし合わせながら、筆者なりの「予感」をここで述べさせていただこうと思う。

図●世界半導体市場予測:地域別
(出所:WSTS)
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 まず地域別の予測を見ると、世界市場の前年比12.1%減に対して、米州市場が同23.6%減と大きく落ち込む予測となっている。これは同市場が2017年に35.0%増を記録したことの反動とも言える動きで、「GAFA」に代表されるクラウドサービス企業のデータセンター向け半導体、とりわけメモリー需要が大きく落ち込んでいることが影響している。

 米州におけるメモリー市場は、2019年1月以降、前年同月比50%減前後で推移しており、4月の出荷実績は同61.0%減という低迷ぶりである。単価の推移で言えば、DRAMは1年前から43%ダウン、NAND型フラッシュメモリーは57%ダウン。ここまで単価が下がればユーザーは購入数量を増やしそうなものだが、実際には増えておらず、単価の下落がそのまま市場規模の下落に反映されている状態になっている。

 その他の地域を見ると、比較的変動幅の小さい欧州市場が前年比3.1%減、日本およびアジアパシフィック市場はそれぞれ同9.7%減、9.6%減、いずれも1桁のマイナスにとどまっている。市場規模としてはアジアパシフィック市場が世界市場全体の62%を占めているため、ここの成長率が全体の動向を反映する形となっている。2020年の予測はどの地域もプラス成長となっているが、変動幅の大きな米州市場は、2桁の成長であっても不思議はない。

図●世界半導体市場予測:ディスクリート、光、センサー
(出所:WSTS)
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 次に製品別の予測を見ると、ディスクリート市場が前年比1.4%増とわずかながらプラス成長の予測で、光半導体が同1.5%減、センサー&アクチュエーターが同0.5%減、わずかなマイナス成長の予測である。これらの製品市場はメーカーの顔ぶれやシェア分布があまり変化せず、需給バランスの面でも大きな変動がないことが特徴と言えよう。

 2020年にはいずれも5%前後のプラス成長が予測されているが、筆者としてはもう少し強気な見方があってもよいと思う。例えばディスクリート市場は、自動車の電動化や産業機器の高機能化に伴い、IGBTやMOSFETなどパワートランジスタ需要の堅調な増加が期待できることを考えれば、2017年、2018年に見られたような2桁成長も十分可能ではないだろうか。

 特記すべきはIC市場で、2019年は同14.3%減という予測である。メモリー市場の変動幅があまりにも大きく、非常に予測しにくいのが実情だが、最も注目すべき市場でもあるので、詳しく触れてみたい。

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