2016年末ごろから好況を持続してきたメモリー市場が急速に悪化している。2018年初頭からNANDフラッシュメモリーのスポット価格が下落し始め、今年後半にはDRAMスポット価格も下落し始めた。この市況をどう読み解くか。今後のメモリー市場および半導体市場をどのように見るべきなのか。この手の予測はなかなか当たらないものだが、注目すべき点について整理してみた。

 下図は、世界半導体市場、メモリー市場およびメモリー以外の半導体市場の前年比成長率をグラフ化したものである。

図1●世界半導体市場の成長率
(出所:WSTSデータよりGrossberg作成)
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 2016年末から加速し始めたメモリー市場は、2017年には年間を通して前年比60%増を上回る成長を記録した。一方でメモリー以外の半導体市場は、同10%前後の増加で推移しており、メモリーが全体の半導体市況をけん引してきたことが分かる。重要なのは、メモリー市況がここまで盛り上がることを業界全体が当時予想していなかったことである。パソコンの出荷は2011年以降成長しておらず、スマホの出荷も1ケタ成長に留まっている状況で、筆者も含めて半導体業界ではメモリー需要が急速に伸びるシナリオを想定できなかった。実際にメモリー以外の半導体需要は極めて通常な成長率の範囲で推移しており、こちらの市況については納得感がある。

 メモリー市場の動向をもう少し詳細に分析してみたい。下図はメモリー市場の地域別出荷を示したもので、米州市場と中国市場だけを抜き出している。

図2●地域別メモリー出荷動
(出所:WSTSデータよりGrossberg作成)
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 米州市場はGoogleや Microsoft、Amazon、Facebook、Appleといった米系の大手クラウド関連企業が自社のサーバー・データセンター向けに消費しているメモリー需要の動向を見るための指標になる。中国市場はパソコンやスマホの量産工場が多く存在することから、それらの需要向けの動向を見るための指標である。米州がクラウドインフラ用、中国がクラウド端末用、という区分はやや乱暴ではあるが、傾向を読み解く上での指標にはなり得ると筆者は考えている。

 米州市場は、2017年中頃の同100%前後の増加から急速な下落を見せており、2018年末には前年比マイナスに落ち込む可能性もありそうだ。一方の中国市場は、2017年後半から2018年前半にかけてやや下振れているものの、前年比40%増から100%増の高い水準で推移しており、現時点であまり単調な下落は見られない。もっともIntelのパソコン向けMPUの供給が不十分で、これが原因でパソコンメーカーの生産が下振れているため、中国におけるメモリー需要にも下振れが発生している。今後の動向からは目が離せない状況である。

 話を元に戻すと、これまでのメモリー需要の予想を上回る好況は、大手クラウド関連企業の積極的な設備投資の増強によるところが大きく、その投資の大半がサーバー・データセンターの増設に使われたためと言って良いだろう。半導体デバイスとしてはMPU(GPUを含む)やDRAM、さらにはストレージ用にNANDフラッシュメモリーの需要増につながったが、その上振れがピークアウトしてメモリー需要が軟化し始めた、ということになる。

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