エレクトロニクス業界では昨今、BtoC(消費者向け)事業よりもBtoB(法人向け)事業に軸足を置く企業が増えた。結果として、ロットサイズは小さいが製品寿命は長い、というタイプの機器を手掛ける傾向が強まっている。

 特に日本では、家電量販店で取り扱われるようなBtoC機器を手掛ける例は、白物家電を除けば数えるほどしかなくなった。スマートフォンやパソコンなどのBtoC事業は縮小・撤退し、車載機器や産業機器などのBtoB事業に力を入れるメーカーの方が多くなっている。今回はこうした状況における、機器メーカーの部品調達戦略のあるべき姿について考えたい。

 車載機器や産業機器は一般に、スマートフォンやパソコンなどの民生機器に比べてロットサイズが小さいため、半導体メーカーや電子部品メーカーにとっては大口受注につながりにくい。しかも最終製品の寿命が10年や20年といった長期間にわたるため、採用が決定した半導体や電子部品はその間、滞ることなく供給し続けることが求められる。

 具体的な例を挙げよう。国内半導体大手のルネサス エレクトロニクスは2013年以降、生産拠点の統廃合に伴って多数の半導体製品のEOL(End of Life:生産中止)を発表してきた。この中には、10年以上といった長期間の供給継続を求められる製品が多く含まれていた。東芝も、売却したメモリ以外の半導体事業では、収益的な問題からEOLに追い込まれている製品が少なくない。

 国内で1、2を争う大手半導体メーカーでさえこの状況だ。機器メーカーが製品寿命の長い製品を手掛けるうえで、部品調達が極めて大きなリスクとなっている現状が分かる。

 一般に、外資系半導体メーカーと日本の機器メーカーとの関係は、良くも悪くもドライであることが多い。「収益的に問題のある製品なので供給を止めざるを得ない」「貴社の要望は本社には受け入れられない」などと外資系半導体メーカーに宣言されれば、機器メーカー側はやむなしと受け入れざるをえない、ある意味で割り切った関係が定着している。

 対して、日本の半導体・電子部品メーカーと機器メーカーの関係はどちらかといえばウェットだ。「最後にはなんとか我々の要望を聞き入れてくれるだろう」「供給責任を最後まで果たしてくれるはず」といった思いが、暗黙のうちに機器メーカー側にあることが少なくない。

 しかし、ルネサスや東芝の例からも分かるように、国内メーカーでさえそうした機器メーカーの要望を聞き入れる余裕はなくなっているのが現状だ。にもかかわらず、調達サイドは「お願いすれば何とかなるだろう」という甘えを断ち切れずにいるのではないか。特に、EOLが及ぼす影響について、日本の機器メーカーの経営層は危機感を欠いていると筆者は感じている。

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