エレクトロニクス専業商社の黒田電気は2018年3月16日、投資ファンドMBKパートナーズのTOBを受け入れて上場廃止になった。黒田電気の株式は村上ファンド系のC&Iホールディングスも保有していたが、今回のTOBに同意したことでC&Iホールディングスは保有株を売却し、黒田電気はMBKの100%子会社となった。

 ファンドによるエレクトロニクス専業商社の買収は、これまでもいくつか事例がある。今回はこうした事例を踏まえ、国内のエレクトロニクス専業商社の現状を分析したい。エレクトロニクス専業商社は、半導体を中心に取り扱う商社や、電子機器など半導体以外も取り扱う商社などいくつかに分類できるが、以下ではいずれも「半導体商社」とする。

 大手半導体メーカーの中には、世界に10万社を超える顧客を抱える企業もある。10万社を直販だけでカバーすることは難しく、半導体商社の協力が不可欠という考え方が従来からの常識だ。例えばアナログ半導体大手の米Texas Instruments社(TI)はその典型だったが、最近は“商社による営業活動は不要、物流に徹してほしい”という姿勢を打ち出し始めている(関連記事1)。

 すべての半導体メーカーがそうした方針を取っているわけではないが、人海戦術的な従来のマーケティング手法を見直そうとする動きは半導体業界に広がりつつある。メール配信やWebサイトの充実化などの方法で売り込み活動の効率化を図る、いわゆる「マーケティング・オートメーション」の手法を採用する企業が増えているのだ。

 半導体ユーザーは、半導体を選定する際の情報収集の一環として、さまざまな半導体メーカーのWebサイトから製品情報を入手しようとする。マーケティング・オートメーションでは、例えばこうしたユーザーの動きを把握するために、半導体メーカー側がユーザーの個人情報登録を促してIDを発行する。そして、そのID保有者がどのような情報を何のために欲しがっているのかをシステマティックに分析することで、売り込み活動を効率化する。

 こうした手法がさらに進化すると、半導体メーカーは顧客ニーズを直接把握できる可能性が出てくる。商社による売り込みは不要であり、商談の規模によっては商社を介さない直販ルートの供給も可能、という状況が生まれてくるわけだ。こうした変化は今、半導体商社の存在を脅かしつつあり、各社の大きな悩みの種となっている。

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