3月上旬、米半導体大手Intelがシンガポールに本社を置くBroadcomの買収を検討しているとの報道があった。当時、Broadcomは米Qualcommの買収を提案しており(その後、Qualcomm買収を禁じる米大統領令を受けて断念)、対抗措置として買収案が浮上したと見られている。

 このように、半導体業界の再編機運は昨今、より一層高まっている。今回はこの状況について私見を述べてみたい。

 1月掲載の「テクノ大喜利」で筆者は、2018年に産業や社会に大きなインパクトを与える注目すべき動きとして、「大規模なM&A」を挙げた。

 2015年以降に半導体業界で頻発している大規模なM&Aは、IoT市場における自社の戦略や位置付けを明確にするためと解釈できる事例が多い。これに関連した動きは当面の間続くだろう。

 これまで、半導体メーカーにとっては、需要を牽引するパソコンやスマートフォン(スマホ)向けの拡販戦略を立てるために、ターゲットとなる機器の半導体構成をよく見ることが重要だった。対してIoT市場では、どのようなアプリケーションにIoTを活用するのか、それによって端末に必要な機能が決まる。単に「IoT端末」と言うだけでは、具体的な半導体構成を想定できないわけだ。

 外部から見て、どのようなシナジーを見込んでいるかが分かりにくいM&A案件が少なくないのも、IoTのこうした分かりにくさと無縁ではないだろう。IoT端末として現在最も普及しているのは、スマホだ。そこで昨今のM&A案件では、スマホ向けに実績のある半導体メーカーが話題の中心にいることが多い。QualcommによるNXP買収しかり、BroadcomのQualcomm買収提案しかりである。どのようなIoT機器を狙えるかがまだ漠然としているため、関連技術を持つ会社を丸ごと飲み込んでしまう、という発想と結びついているとも映る。

 Qualcommは2014年までは増収増益を続けていたが、2015年を境に減収に見舞われるようになった。スマホ市場そのものの成長にブレーキがかかっていることに加え、成長著しい中国スマホメーカー各社が低価格を重視してQualcommのSoCを敬遠していることなどが背景にある。QualcommがNXP買収に踏み切ったのは、スマホに代わる新たな市場の開拓を余儀なくされたためだろう。逆に、Broadcomによる買収の標的になったのは、IoT端末側でのQualcommの実績が高く評価されたためでもあるだろうが、Broadcomの昨今の勢いにQualcommが押されたとの印象も強かった。

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