大量のデータと人工知能(AI)など情報処理技術を駆使して新たな特性を持つ新素材を開発する「マテリアルズインフォマティクス(MI)」という技術を耳にする機会が増えた。新素材の開発を迅速に進めるため、また研究者が気づきにくい切り口から画期的新素材を開発するため、MIの活用に大きな期待が集まっている。

 これまで、新素材の開発は、数ある技術分野の中で、特に開発の手間と時間が掛かる分野とされてきた。研究者のセンスと経験が開発の成果を大きく左右し、なおかつ地道な試行錯誤と辛抱強い開発の継続が求められる。こうした仕事に適性がある日本企業の得意分野でもあった。実際、半導体産業や電子産業でも材料開発の分野での日本企業の競争力は圧倒的である。MIの活用の活発化は、長年にわたって大きな変化がなかった素材ビジネスにイノベーションをもたらす可能性がある。

 そこで今回のテクノ大喜利では、MIの活用が成果を大きく左右する時代に突入しつつある素材産業で、ビジネスの競争力を維持・強化していくための方策について議論した。最初の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。半導体製造技術の分野でのMIを活用した多くの成果を知る同氏は、素材開発の手法の変化が素材ビジネスのあり方自体を大きく変える可能性を指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】マテリアルズインフォマティクスを活用した新素材開発が進むと、電子産業や半導体産業にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】製品開発期間の短縮と開発費用の削減
【質問2】マテリアルズインフォマティクス時代には、どのような技術・特徴を備えた素材メーカーの競争力が高まると思われますか?
【回答】使いやすい膨大なデータベースやデータマイニング・解析システムの構築、そのためのデータサイエンティストなど情報科学分野の人材の確保
【質問3】マテリアルズインフォマティクス時代、日本の素材メーカーのビジネス環境は、どのように変化すると思われますか?
【回答】シーズ指向からニーズ指向に変化

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