研究開発での競争力の維持・強化は、大学や研究機関だけではなく、企業にとっても重要な取り組み課題だ。日本では、企業での研究開発を通じて、ノーベル賞に至る業績を上げた研究者も複数いる。ただし近年、投資の効率化を優先した結果、中央研究所を保有して長期的視野に立った基礎研究に注力する企業は減ってきた。研究テーマには、短期的な成果が期待できる実用的なものが選ばれる傾向が強まっている。

 長期的な視野に立った研究開発力を強化するため、産学連携の有効活用に注目する企業が出てきている。大学側にも、研究開発力を維持・強化するために、これまでとは次元の異なる産学連携に打って出るところが現れてきた。その代表例が東京大学である。これまでの日本の産学連携では、企業が抱える困りごとを大学の先生に相談するといったものが中心だった。東京大学は「産学連携から産学協創へ」というスローガンを掲げ、数十億円規模のプロジェクトを日立製作所やNECとの間で実施している。ただし、こうした産学連携での大規模プロジェクトは海外では当たり前のように行われている。やっと、世界標準の連携が始まったと見た方がよいのかもしれない。

 日本の科学技術研究の競争力を維持・強化するためにすべきことを、執政の視点と研究者自身の視点の両面から考えている今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、技術経営(MOT)を専門とする立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。電機メーカーに勤務し、産学連携が盛んなシリコンバレーで駐在した経験を持つ同氏は、シリコンバレーを範とする人の循環を伴う産学官連携の重要性を訴えた。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】そもそも、科学技術研究の国際競争力が落ちると、どのような不都合があると思われますか?
【回答】科学技術の競争力が落ちると、日本でイノベーションが起こらず、日本のものづくりは壊滅する
【質問2】もしもあなたが文部科学大臣だったら、科学技術研究の国際競争力を高めるため、真っ先にどのような施策を打ちますか?
【回答】シリコンバレーの事例から、人材育成のみならず、研究・開発、ふ化・事業化の多層的な産学官連携施策を打つ
【質問3】あなたの子どもが学者になりたいと言ったとします。どのようなアドバイスをしますか?
【回答】「イノベーターたれ」。そのために米国で年少クラスから行われる「Show and Tell」などの創造性教育を積極的に学習すること

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