「末は博士か大臣か」と、子どもの洋々たる未来に期待をかける時代は遠く過ぎ去った。大臣はともかく、現在の日本ほど、博士が軽く見られ、受難の状況に置かれている国も少ないのではないか。

 2004年の国立大学の独立法人化以降、国から大学に配られる運営費交付金が減額され続け、若手研究者の正規雇用は減少し、任期付雇用の比率が大幅に増加している。ノーベル賞につながるような画期的成果を上げた研究は30代で行われることが多いとされているが、この世代は生活に不安を抱えながら研究者生活を送っている。競争原理を研究や教育の場にも導入したという人もいるが、聞こえがよくなるとでも思っているのか。このような状況はどう考えても高学歴のハイスペック人材が受ける待遇ではなく、人材の浪費以外の何ものでもない。科学技術白書によると、修士課程修了後に博士課程に進学する学生の数は、直近の15年間で40%以上減少したという。

 日本の科学技術研究の競争力を維持・強化するためにすべきことを、執政の視点と研究者自身の視点の両面から考えている今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、某理工系大学で研究者・教員として科学技術研究の現場に身を置く、電子工学科の一教授である。同氏は、研究の場、人材育成の場としての大学の危機的状況を赤裸々に訴えている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
電子工学科の一教授(でんしこうがくかのいちきょうじゅ)
某理工系大学 電子工学科 教授
電子工学科の一教授(でんしこうがくかのいちきょうじゅ) 学生時代は理論物理を専攻。現在は、某理工系大学の電子工学科に所属して、研究・教育に従事している。
【質問1】そもそも、科学技術研究の国際競争力が落ちると、どのような不都合があると思われますか?
【回答】未来永劫(えいごう)、ただで日本の技術が一流であり続けると考えているのなら、それは大間違いだ
【質問2】もしもあなたが文部科学大臣だったら、科学技術研究の国際競争力を高めるため、真っ先にどのような施策を打ちますか?
【回答】まずは大学など研究機関にお金をばらまく。事前に予見できる成果にブレークスルーはない
【質問3】あなたの子どもが学者になりたいと言ったとします。どのようなアドバイスをしますか?
【回答】「若い時には色々なこと、自分に興味があること以外にも、さまざまなことを勉強しておきなさい。そして、海外に行きなさい」と言いたい

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