車載関連の半導体メーカーでは、次々と大型M&Aが起きている。そうした中、ルネサス エレクトロニクスによる米インターシル(InterSil)と米IDTの合計1兆円にものぼる巨額買収に対する市中の評価はすこぶる低い。「相乗効果が見えない」「そもそも買収額が高すぎる」「意味不明」と散々な言われようだ。そして、ついには買収後の業績が悪化したことから、トップが辞任する事態にまで至った。

 こうした状況が人材の流動性が高い欧米の企業で起きれば、際限のない人材の流出が起きて、あっという間につぶれてしまうことだろう。ルネサスも、度重なるリストラと、国内外の同業者・異業種による人材の草刈り場となって、多くの優秀な人材が流出した。しかし、それでもまだ世界で戦うだけの力を持つ人材と技術資産が残っている。良くも悪くも、同社は日本企業である。一時代を築いた日本の半導体メーカー群が統合して出来上がった同社には、分厚い地層のような知恵と技術の蓄積がある。手に入れた海外の技術資産との効果的な融合を推し進めれば、M&Aを計画していた時にも考えられなかった思わぬイノベーションが生まれるかもしれない。

 今回のテクノ大喜利では、M&Aを推し進める車載半導体のトップ3社を軸に、各社の業態変化がクルマの進化に及ぼす影響や車載半導体の勢力図の行方について議論した。4番目の回答者は東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、現時点でのルネサスの低評価を客観的データを基に示しながらも、これはあくまでM&Aの成果が定まっていない状態の見込みの評価であることを強調している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
石野 雅彦(いしの まさひこ)
東海東京調査センター シニアアナリスト
石野 雅彦(いしの まさひこ) 山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、ディスプレイ、通信などテクノロジー企業および産業を対象にした調査・分析に従事している。
【質問1】車載半導体のトップ企業群が、相次いでM&Aに走る理由は何だと思われますか?
【回答】「クルマの電動化」「5G通信」と「AI」による次世代技術革新と開発・普及の加速化
【質問2】インフィニオン、NXP、ルネサスの中で最も合理的かつ的確なM&Aを行っているのはどこだと思われますか?
【回答】資本市場の評価は現時点ではNXP、インフィニオン、ルネサスの順、今後はM&A後のPMIに左右される
【質問3】変貌を遂げる車載半導体関連の業界で、ルネサスは生き残り、確かなポジションを得ることができると思われますか?
【回答】生き残りは可能だが、マネジメントの経営力に依存する

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