ルネサスエレクトロニクスが心配だ。堅調な伸びが期待できる車載半導体の分野で世界のトップ3の一角を占めながら、聞こえてくるのは「業績不振」「工場の操業停止」「トップの交代」とネガティブな話ばかりだ。

 日本の産業界には、世界の中で際立った強みを持つ分野が多々ある。ただし、家電業界や携帯電話などの国際競争力が低下し、次世代を担う若者が夢を描きやすい分野が少なくなった。自動車業界は、数少ない一般消費者にとって分かりやすい分野である。ここでの強みは、日本の未来の産業競争力を維持・強化するうえで実利以上の重要性があるのではないか。自動車産業が衰退すれば、製造業を志す若者は日本からいなくなるかもしれない。

 現代のクルマは半導体の塊となった。ルネサスは、日本の自動車産業が新たな時代を開くためのシーズを供給すべき立場にある。ましてや、世界の潮流に乗ることさえままならず汲々(きゅうきゅう)としている場合ではない。

 本格的なクルマの大変革を前に、時代の要請に合う形へと業態変更を推し進めている車載半導体のトップ3社。今回のテクノ大喜利では、各社の業態変化が、クルマの進化に及ぼす影響やそこでの車載半導体の勢力図の行方について議論した。3番目の回答者はTSUの高橋恒雄氏である。苦境のどん底にあったルネサスが業績を盛り返した作田久雄 元会長兼CEOの時代に、執行役員常務兼CSMOだった同氏が、現在のルネサスが進むべき道を語った。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
高橋 恒雄(たかはし つねお)
TSU 代表取締役
高橋 恒雄(たかはし つねお) 第二精工舎、富士ゼロックスで研究開発に従事、マイクロコード、x86、68000、RISC、UNIXに親しむ。その後、インテルに80860アプリケーションエンジニアとして入社、ペンティアム・マーケティングなどを経て取締役通信事業本部長。モトローラにはメトロワークス社長で入社、半導体部門スピンオフに伴いフリースケールジャパン社長、リーマンショック後の組織大縮小完了後退社。株式会社TSUを設立。その後INCJにリクルートされ、ルネサスエレクトロニクスでターンアラウンドを行う作田チームに執行役員常務兼CSMOとして参画。TSUではTPGキャピタル、ベアリング・プライベートエクィティ・アジアのアドバイザーを歴任。ライフワークとしてサウンドスケープを研究。
【質問1】車載半導体のトップ企業群が、相次いでM&Aに走る理由は何だと思われますか?
【回答】市場占有率の増加によるサプライチェーンとしての地位向上(SAM拡大戦略)
【質問2】インフィニオン、NXP、ルネサスの中で最も合理的かつ的確なM&Aを行っているのはどこだと思われますか?
【回答】歴史ある車載のモトローラのDNAを持つフリースケールを買収したNXP(成功したSAM拡大戦略)
【質問3】変貌を遂げる車載半導体関連の業界で、ルネサスは生き残り、確かなポジションを得ることができると思われますか?
【回答】戦略的にTAMを創造することでできる

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