韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は、恐らく、韓国政府に向けられる以上の畏敬の念を同国国民から集めているのではないか。それはそうだ。世界一の半導体メーカー、スマートフォンメーカーとなった同社は、同国民の自尊心を満たしてくれる存在であるからだ。半面、韓国政府は、これまでのところ自尊心を満たすような成果は何一つ上げていない。韓国国民の愛国心をあおり、実現性も効果も不確かなカラ手形をバンバン切っているだけだ。

 こうした状況を鑑みれば、日本にとってのサムスン電子は、味方に引き込むべき相手であって、攻撃の対象にしてはならない相手であると思われる。

 韓国への輸出管理の強化による影響を、短期的視野と長期的視野の両面から議論している今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。兵たんを寸断する古典的な戦術である兵糧攻めは、一見、攻めている側には大した被害はないように見える。しかし、同氏は、半導体やディスプレー産業でサプライチェーンを寸断しても、技術的な見地からも、グローバル化が進んだビジネスの見地からも勝者はいないことを指摘。そのうえで、今こそ日韓の産業界のパートナーシップの重要性が高まっているとしている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】韓国への半導体、ディスプレー材料の輸出管理強化で、短期的にはどのような影響が出ると思われますか?
【回答】短期的には、韓国半導体の生産が激減、最悪で操業停止し、世界のスマホなどの生産に影響
【質問2】サプライチェーンや業界勢力図などに、長期的にどのような影響が出ると思われますか?
【回答】長期的には、「脱日本」により、日本の半導体材料生産シェアのみならず、日本の競争力が低下する
【質問3】当事国である日本と韓国以外の国や地域の企業に、どのような利害が及ぶ可能性があると思われますか?
【回答】日韓政府の報復の連鎖は、世界の経済成長を阻み、出口見えず。産業界の「パートナーシップ」が鍵

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