2019年7月4日、日本政府は、日韓両政府の信頼関係が著しく損なわれたことを理由に、韓国向けの半導体材料や液晶材料への輸出管理を強化。この措置が、韓国の半導体産業とディスプレー産業の構造変化を誘発している。

 今回の措置の是非については、立場や見地の違いによってさまざまだ。ただし、半導体産業やディスプレー産業、ひいては電子産業に大きな影響が及ぶことは確実だろう。実際、韓国は自国の基幹産業に内在する脆弱性にあらためて気づき、材料産業の育成を明言している。業界関係者からは、米国や日本、台湾さらには中国の半導体産業に利するのではとする見方も出ている。

 今回のテクノ大喜利では、韓国への輸出管理の強化による影響を、短期的視野と長期的視野の両面から議論した。短期的影響とは、DRAMやフラッシュメモリーで大きなシェアを持つ韓国メーカーの生産が滞ることによる、供給不足とそれに伴う価格高騰の可能性。長期的影響とは、韓国国内での材料や製造装置の内製化による国内企業の競争力の相対的低下、韓国メーカーの地政学的リスクに気づいた電子機器メーカーの部品調達先の分散化などである。最初の回答者は、アーサー・ディー・リトル・ジャパンの三ツ谷翔太氏である。同氏は、韓国をはじめとする半導体を主要産業とする国や地域での材料・装置開発が加速することは既定路線であり、材料・装置産業の育成に向けて具体的にどのような施策を打つかについて考察している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・ディー・リトル・ジャパン  パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた) 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・ディー・リトル・ジャパンにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。GAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーが独占的地位を得る時代から、自律分散型の企業モデルが息を吹き返す時代への移行を見通した、フラグメント化する世界 ーGAFAの先へーを日経BP社から出版(共著)。
【質問1】韓国への半導体、ディスプレー材料の輸出管理強化で、短期的にはどのような影響が出ると思われますか?
【回答】「輸出」の「管理強化」であり、その影響は限定的
【質問2】サプライチェーンや業界勢力図などに、長期的にどのような影響が出ると思われますか?
【回答】韓国の材料産業強化などによる競争の激化
【質問3】当事国である日本と韓国以外の国や地域の企業に、どのような利害が及ぶ可能性があると思われますか?
【回答】サプライチェーンと地政学への影響力を持つ中国がどう動くか

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