中国共産党の機関紙、人民日報の傘下のメディアである環球時報は、2019年5月9日の社説の中で、「米国は“鴻門の会”を開こうとしているが、脅しを掛けても無駄だ」という社説を発表した。

 鴻門の会とは、始皇帝が建てた秦が滅亡した後の覇権を争う2勢力のトップ、楚の項羽が漢の劉邦を招き暗殺を企てた宴のことである。その時点で圧倒的優位に立っていた項羽が、劉邦の天下取りの野心を感じ、先手を打とうとした。しかし、宴で項羽が気を許した隙に恥も外聞もなく逃げ延びた劉邦が、後々項羽を討ち果たすことになる。

 確かに、鴻門の会に至るまでの経緯は、今の米中ハイテク摩擦そのものだ。後は、トランプ大統領が中国を侮る局面が生まれるのか、習近平国家主席が面子(めんつ)を捨てて生き残りに徹することができるかということか。楚漢抗争で漢が最終的に勝利した要因は、優秀な人材の収集と育成で圧倒的に優っていたからだとされている。

 米国こそが技術革新やイノベーションの唯一の発信源だった時代が終わり、米中2極体制に移行する可能性について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は覇権争いの帰趨(きすう)を決める要因となり得る人材の動きを中心に、侮れない中国の強さを論じている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】電子産業に技術革新やイノベーションを生み出す場として、米国が中国よりも優れている点は何だと思われますか?
【回答】世界一潤沢な官民の科学技術研究費、“アメリカンドリーム”を夢見て世界中から集まる優秀な人材、独創力の重視と起業家精神を貴ぶ風土、ベンチャーキャピタルによる積極的な資金提供
【質問2】逆に、中国が米国よりも優れている点は何だと思われますか?
【回答】計画経済に基づく政府の目的(国威発揚)に沿った明確な長期目標、国策によるハイテクへの集中的な巨額投資・多額の補助金、中国内の、あるいは海外で活躍している優秀な中国人人材の圧倒的な多さ、資金にもの言わせて世界中からハイテク人材を獲得する手法
【質問3】米国だけでなく、中国からも電子産業における技術革新やイノベーションが多発する未来に、現実味を感じますか?
【回答】感じる

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