「技術一流・経営三流」。これは、日本の製造業企業が、いまひとつ世界の中で存在感を示せない状態を揶揄(やゆ)して、よく語られる言葉だ。

 最近では、技術畑以外の出身者が製造業企業のトップを務める例も増えてきた。いかに技術が分かっていても、経営の素人では会社が立ち行かなくなることを考慮した人事だろう。ところが、こと電子産業に関しては、その効果はあまり見えず、逆に国際競争力が低下してしまったようにも見える。こうした状況を評して、「技術が分からない経営者がピント外れな経営をするからだ」とする声が聞かれるようにもなった。

 理想は、技術の特徴の本質を見抜く目と、プロの経営手法を身に付けた人材の登用だろう。技術の分かる経営者、経営が分かる技術者、そんな人材をいかにして育成したらよいのか。

 日本が過去最低の総合30位に位置付けられた、スイス・国際経営開発研究所(IMD)の「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」2019年版の結果を考察し、日本の国際競争力をさらに高めるための糸口を議論している今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。教育者である同氏は、日本の製造業企業の国際競争力を高めるための「技術経営(MOT:Management of Technology)」教育の重要性を力説している。そして、現在の日本企業を取り巻くビジネス環境に対応できる人材を育成するためのMOTの姿を提言した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】日本の国際競争力は、向上していると思われますか。それとも下降していると思われますか?
【回答】1990年代の1位から下降し「MOT人材育成」で持ち直したが、再下降
【質問2】日本の国際競争力を高めるうえで、最大のネックとなっていることは何だと思われますか?
【回答】グローバル化とデジタル化に対応できず「ビジネス効率性」がネック
【質問3】日本の国際競争力をさらに高めていく際に、最大の強みとなることは何だと思われますか?
【回答】最大の強みは「インフラ」。この強みを生かす「新MOT人材育成」を提言

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