機械や電子機器のシステムも、企業や社会のシステムも、高効率化の追求と安定化の追求はトレードオフの関係にあるように見える。ギリギリの高性能を追求しているからこそ壊れやすい工業製品、作業から無駄を徹底排除したからこそ非常事態の際には機能不全に陥る工場といった例は、よく見られる。

 企業がより多くの利益を上げるためには、ビジネスモデルや仕事の進め方など、さまざまな側面からの高効率化を推し進めていく必要があるだろう。しかし、その際、安定したビジネスを営むために必要な要素までそぎ落として高効率化してしまったら、一時的に高い競争力を誇ることができたとしても、長期にわたる強みとはならないだろう。

 日本が過去最低の総合30位に位置づけられた、国際経営開発研究所(IMD)の「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」2019年版の結果を考察し、日本の国際競争力をさらに高めるための糸口を議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、国際競争力ランキングを決める際の項目以外の部分にも企業の強みを左右する要因があることを指摘。ベンチマーク指標だけにとらわれない複眼的な競争力醸成の必要性を訴えている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた) 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。GAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーが独占的地位を得る時代から、自律分散型の企業モデルが息を吹き返す時代への移行を見通した、フラグメント化する世界 ーGAFAの先へーを日経BP社から出版(共著)。
【質問1】日本の国際競争力は、向上していると思われますか。それとも下降していると思われますか?
【回答】ランキングに表れない強みがあるが、その毀損が懸念される
【質問2】日本の国際競争力を高めるうえで、最大のネックとなっていることは何だと思われますか?
【回答】非効率だと評価されている企業行動だが、本来的には社会的意義がある
【質問3】日本の国際競争力をさらに高めていく際に、最大の強みとなることは何だと思われますか?
【回答】「イノベーション能力」と「科学インフラ」。つまり、変革していける能力

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