数年前に、誰が、こんなことが起きると想像しただろうか。2019年4月17日、台湾の鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)董事長 兼 総経理の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が、台湾の総統候補選びの予備選挙に出馬表明した。現地の世論調査では、現職の蔡英文総統に大差をつけて、トップに立っているそうだ。米国で実業家のトランプ大統領が登場したことにも驚いたが、今度は電子業界に関わるところで同様のことが起きつつある。

 鴻海は、言わずと知れた世界最大のEMSであり、その生産能力の巨大さと同社に自社製品の生産を委託する企業の幅広さから、世界の電子機器生産そのものと言える存在である。また、台湾は米国と中国の両方と関係が深い地域である。鎮火の決め手を欠くハイテク覇権を巡る米中貿易摩擦への影響も気になるところだ。

 今回のテクノ大喜利では、電子産業のど真ん中にいる企業のカリスマが、ハイテク覇権を競う両大国がせめぎ合う戦場の最前線に位置するナイーブな地域の重要ポストに就くことで何が起こり得るのか議論した。最初の回答者は、日本では未知の存在だった時代から鴻海と郭台銘氏に注目し、その実像とインパクトを伝え続けてきたTMR台北科技の大槻智洋氏である。No.1ウォッチャーである同氏が、郭台銘氏の人となりを基に台湾の総統を目指す狙いとインパクトを読み解いた。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
大槻智洋(おおつき ともひろ)
TMR台北科技
大槻智洋(おおつき ともひろ) 1998年4月よりCSKベンチャーキャピタルで投資や経営支援に従事した後、2001年11月より日経BPで日経エレクトロニクス記者となる。カメラ技術やEMS/ODM産業の分析記事で高評価を受ける。2010年8月に台湾へ単身移住し2011年9月に会社設立。コンサルティング会社や電子関連企業に調査サービスやコンサルティングを提供するほか、メディアに寄稿している。https://twitter.com/T_Otsuki
【質問1】仮に郭台銘氏が台湾総統になったとしたら、電子業界にどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】台湾が対米FTAを成立させ、自動車や医療機器に向けた電子部品で競争が激化する
【質問2】郭台銘氏の台湾総統就任によって、米中貿易摩擦行方にどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】郭台銘氏が総統になろうと、大局は変わらない
【質問3】鴻海傘下のシャープ、また鴻海と取引がある日本企業には、どのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】台湾ビジネスにおける小さな課題がたちまち解決する

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