産業革新機構の支援の下で、ソニー、東芝、日立製作所3社の液晶事業を統合して2012年に設立されたのが、「日の丸液晶連合」、ジャパンディスプレイ(JDI)である。そこには、2015年〜2016年の時点では、経営危機に陥ったシャープも合流するとみられていた。ところが、シャープは日の丸液晶連合に加わる道を選ばず、台湾の鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)グループの傘下に入る道を選んだ。

 シャープが鴻海グループ入りを決定した当時、純国産企業の連合体とならず、技術流出を懸念する政府の意向を横に置き外資を入れたことに対する国内世論の見方は批判的ですらあった。ところが、あに図らんや、業績を回復基調にできたのはシャープの方で、JDIは今になって外資を入れようとしている。もちろん最終的な成否が決したわけではないのだから、現時点でどちらの判断が正しかったのか判定することは難しい。それでも、大型パネルを生産する堺ディスプレイプロダクトと小型パネルを生産するシャープは、鴻海グループの中で、定まったビジネスのかたちが出来上がったようには見える。

 日の丸液晶が過去に取るべきだった施策を考え、競争力のあるビジネスを営むための留意事項を議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。元シャープの技術者であり、教職に転じた後も一貫して液晶産業を研究対象にしてきた同氏は、窮地に陥った企業が反転攻勢に出られる状態に立て直す際に欠かせない視点を指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中田行彦(なかた ゆきひこ)
立命館アジア太平洋大学 名誉教授
中田行彦(なかた ゆきひこ) 神戸大学大学院卒業後、シャープに入社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、米国のシャープアメリカ研究所など米国勤務。2004年から立命館アジア太平洋大学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10月から2010年3月まで、米国スタンフォード大学客員教授。2015年7月から2018年6月まで、日本MOT学会企画委員長。2017年から立命館アジア太平洋大学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】継続的な事業を営むため、日本の液晶メーカーは、液晶産業の黎明(れいめい)期に何をしておくべきだったのでしょうか?
【回答】液晶産業の黎明期に、リスクを回避せずビジョンを持って投資すべきだった
【質問2】継続的な事業を営むため、液晶産業の成長期には、どのような施策をしておくべきだったのでしょうか?
【回答】大型投資について、適正な判断基準によりリスクを軽減すべきだった
【質問3】業績や財務状況が悪化して、事業再建に取り組む際に、どのような施策を取るべきだったのでしょうか?
【回答】ファンドに頼るよりも、アジアとの国際提携で共創すべきだ

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