自動車業界では電気自動車や自動運転車で世界の競合の動きの速さと大きさに押され、IT業界ではディープラーニングやクラウド関連技術で圧倒されている日本の産業界。技術のムーブメントを自ら作り出すことはできず、世界の技術トレンドをキャッチアップし、何らかの差異化要因を苦労して盛り込んで、生き残りの道を探らざるを得ない状況だ。

 こうした中、日本固有の技術革新を起こすことの重要性が叫ばれている。新しい技術が実用化する前の黎明期から優位性を築き、競争のルールやエコシステムを日本企業向きに作り上げることができれば、その後のビジネスを有利に展開できるだろう。産業の黎明期から日本企業がトップを走っていた液晶産業は、こうした鉄板の強みを作り上げる可能性があった稀有な産業だった。しかし、結果は残念なものに終わった。

 往年の主要企業の液晶ビジネスのほとんどが、外資企業の手にわたることになった“日の丸液晶”の経緯からいかなる学びを得ることができるか。これは、日本固有の新たな技術革新を求めるすべての企業にとって、重要な課題であろう。でなければ、せっかくの独自技術も、果実を得ることなく、再び他国企業に渡す結果になってしまうのではないか。日の丸液晶が過去に取るべきだった施策を考え、競争力のあるビジネスを営むための留意事項を議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者はアーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、産業の黎明期から扱う技術の本質を踏まえた長期構想を描くことの重要性を指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた) 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。GAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーが独占的地位を得る時代から、自律分散型の企業モデルが息を吹き返す時代への移行を見通した、フラグメント化する世界 ーGAFAの先へーを日経BP社から出版(共著)。
【質問1】継続的な事業を営むため、日本の液晶メーカーは、液晶産業の黎明期に何をしておくべきだったのでしょうか?
【回答】技術の本質を踏まえた、その後の展望の長期構想
【質問2】継続的な事業を営むため、液晶産業の成長期には、どのような施策をしておくべきだったのでしょうか?
【回答】次なる成長機会へのバランスのよい投資配分
【質問3】業績や財務状況が悪化して、事業再建に取り組む際に、どのような施策を取るべきだったのでしょうか?
【回答】強力なガバナンスとリーダーシップ

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