液晶パネルの原価構造は、半導体チップのそれに比べて大きな特徴がある。もちろん、製造装置の減価償却費も巨額で大きな割合を占めるのだが、それにも増して部品材料の購入費用の割合が極めて高いのだ。カラーフィルター、偏光板、バックライト、ドライバーICなど、高額で高付加価値な部材をたくさん外部調達している。液晶パネルは、部品・材料、そして製造装置メーカーが生み出す付加価値を結集して作られているといえよう。原価構造を見れば、電子デバイス産業というより、むしろ自動車のような組み立て型産業のように見える。
液晶産業が成長期に入り、液晶パネルのコスト削減が推し進められる過程で、黎明(れいめい)期に外部調達していたカラーフィルターをパネルメーカーが内製するようになった。後から内製できるくらいなら、なぜ最初から内製してコスト削減しなかったのか。そのことを業界に詳しい方に問うと、「液晶ビジネスの立ち上げのリスクを最小限に抑えようとしたシャープが、自社で行うべき工程の多くを外部委託した。それが、業界構造として定着したのでは」という答えだった。確かにパネルメーカー視点では合理的判断ではあるが、あるときは頼られ、状況が変わればはしごを外されるカラー・フィルター・メーカーの身になれば、しんどい話だとも感じた。トヨタ自動車ならば、部品材料メーカーを系列化したのではないか。
日の丸液晶が過去に取るべきだった施策を考え、競争力のあるビジネスを営むための留意事項を議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は日の丸液晶の内幕をよく知る、某企業のFPD製造装置業界関係者にご登場願った。同氏は、日本の液晶パネルメーカーが成長していく過程で、ビジネスを支える技術や人材、さらには顧客、ベンダーなどを雑に扱ってしまったことが、その後の凋落の種をまいた可能性を指摘している。
某企業

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