ここ数年の半導体需要は、ネット社会の拡大とデジタライゼーションの進展に対する期待によっての急激に増大してきた。即物的に言えば、スマートフォンとデータセンター向け半導体によって生まれる需要が支配的だったと言える。扱うデータの量が増え続けることは確実であり、それを処理・蓄積する半導体の量は増加していくことが確実。これこそが、「スーパーサイクル」と呼ばれる半導体市場の右肩上がりでの成長を予見する市場トレンドの根拠である。

 今回の半導体の不調を読み解く際に重要なことは、ネット社会の拡大とデジタライゼーションの進展という、スーパーサイクルの根拠に大きな変化があるという点にあるのではないか。特に気になるのが、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)型ビジネスの規制を狙った個人情報保護の強化や中国のハイテク覇権阻止を狙った米中貿易摩擦といった、スーパーサイクルの大前提となる部分に冷や水を掛ける動きの根深さである。過去にも、日米半導体摩擦のように半導体産業に政治が影響を及ぼしたことがあった。しかし、今回は市況にも影響が及び、しかもその規模が世界へと拡大しているように見える。

 低迷する半導体市場の反転の糸口と冬の時代だからこそ考えるべき半導体関連企業の身の処し方を議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、慶應義塾大学の田口眞男氏である。最も市況の変動が激しいメモリー市場に、設計者として、また経営者として対峙してきた同氏は、需要の動きを決める要因の変化について考察した。そして、今回の半導体の不調は、政治的要因が色濃く反映されている点で異例であり、その洞察が需要になることを指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
田口 眞男(たぐち まさお)
慶應義塾大学 先端科学技術研究センター 研究員
田口 眞男(たぐち まさお) 1976年に富士通研究所に入社とともに半導体デバイスの研究に従事。1988年から富士通で先端DRAMの開発・設計に従事。メモリーセル、高速入出力回路や電源回路などアナログ系の回路を手掛ける。2003年、富士通・AMDによる合弁会社FASL LLCのChief Scientistとなり米国開発チームを率いてReRAM(抵抗変化型メモリー)技術の開発に従事。2007年からSpansion Japan代表取締役社長、2009年には会社更生のため経営者管財人を拝受。エルピーダメモリ技術顧問を経て2011年10月より慶應義塾大学特任教授、2017年4月より同大学の先端科学技術研究センター研究員。技術開発とコンサルティングを請け負うMTElectroResearchを主宰。
【質問1】現在急激に落ち込んでいる半導体市場は、いつごろ反転すると思われますか?
【回答】本格回復は2022年ころだろうが、そのときおいしい思いをするのは中国の可能性
【質問2】半導体市場が反転するきっかけとなる要因・条件・イベントは何だと思われますか?
【回答】5G通信の応用拡大
【質問3】半導体市場が低迷している間、半導体関連企業はどのような戦略・戦術・施策を取るべきだとわれますか?
【回答】2年後をめどに勝てる技術・商品の開発にまい進する

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら