電子産業の中で、長年にわたって日本企業が強みを維持し続けている分野がある。村田製作所やTDKなどが扱う、コンデンサーやインダクターなどチップ部品の分野である。スマートフォンやパソコン、テレビ、車載機器などあらゆる電子機器に日本製のチップ部品が搭載されている。

 チップ部品の市場の奪取を狙う海外企業は多いが、日本企業からシェアをもぎ取ることに成功していない。今では、複数のチップ部品を集積したモジュールが無線機器の小型化に欠かせない部品になっており、こうした分野ではまさに日本企業の独壇場といえる状況だ。こうした日本の強みは、一朝一夕には技術を磨けない材料技術が、チップ部品の性能と生産性に大きく影響するからだとする指摘がある。

 SiCパワーデバイス活用による電力効率向上が期待されている自動車の電動化の分野では、その応用先が車載充電器から動力用モーターを駆動するメインインバーターへと移行しつつある。走行中の故障などあってはならないメインインバーター向けは、車載充電器向けとは次元の異なる信頼性が求められるという。実績のあるSiパワーデバイスに代わってSiCを投入するには、SiCウエハーの材料技術、デバイス技術、パッケージ技術といった分野横断的な技術の総合力が問われる。そして、こうした総合力、技術の擦り合わせが求められる分野こそ日本企業の出番である。

 SiCでの競争力を日本の半導体産業が死守するための方策を議論している今回のテクノ大喜利、4番目の回答者はGrossbergの大山聡氏である。同氏は、日本のチップ部品の勝ちパターンをSiC関連ビジネスに生かすことの重要性を指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
大山 聡(おおやま さとる)
Grossberg 代表
大山 聡(おおやま さとる) 1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマン・ブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年よりIHS Markitで、半導体をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。2017年9月に同社を退社し、同年10月からコンサルティング会社Grossberg合同会社に専任。
【質問1】SiC関連ビジネスで、日本企業が伸ばすべき長所、解決すべき課題は何だと思われますか?
【回答】材料や製造方法の相性を含めた擦り合せ技術の育成と徹底したコストダウンの追求
【質問2】SiC関連ビジネスでぶっちぎりの競争力を養うため、日本の半導体産業が行うべき施策は何だと思われますか?
【回答】最終アプリケーションを意識した技術開発
【質問3】SiC関連ビジネスで強みを継続できる状態にするため、日本の半導体産業が行っておくべき施策は何だと思われますか?
【回答】電子部品業界の成功事例を少しでも多く取り込むこと

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