SiCをベースにしたパワーデバイスへの期待が急激に高まっていいる。2001年にドイツのインフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies)がダイオードを、2010年にはロームがMOSFETを商用量産して以来、性能、生産性、信頼性を高める技術が着実に向上してきた。今では、SiCインバーターを搭載した鉄道車両も走るようになり、近年急激に高まる需要に後押しされて、各半導体メーカーは増産体制を足早に整えつつある。

 SiCパワーデバイスは、日本の半導体メーカーが高い競争力を維持している数少ない分野である。三菱電機、富士電機、ローム、サンケン電気など、SiCパワーデバイスに注力する半導体メーカーも複数存在する。しかも現在のSiCパワーデバイスの事業環境は、日本の半導体業界の特徴に合っているようにも思える。

 一つに、性能や生産性を上げるには材料からデバイス構造、プロセスまでに至る技術のすり合わせが求められること。二つに、日本企業が強い材料技術が生かせること。三つに、デバイスの潜在能力を引き出すには、Siデバイス向けとは異なる回路技術やシステム技術、周辺電子部品が必要になり、ここでも高度なすり合わせ開発が必要なこと。四つに、日本には世界市場をリードするユーザー企業が数多くいて、日本の産業競争力強化にも大いに貢献できること。五つに、最先端の微細加工技術が不要なので設備投資の金額が少なくて済むことである。

 ただし、市場が拡大し、技術が成熟してくれば、後進企業による資本勝負の時代が訪れるかもしれない。そこで今回のテクノ大喜利では、SiCパワーデバイスでの日本企業の勝ちパターン、シナリオについて議論した。1番目の回答者は野村證券の和田木哲哉氏である。同氏は、長期的視点から見たパワーデバイスの価値を論じ、そこで日本の半導体業界が強みを醸成し、守ることの重要性を強調している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
和田木 哲哉(わだき てつや)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
和田木 哲哉(わだき てつや) 1991年早稲田大学 教育卒。東京エレクトロンを経て、2000年に野村證券入社。アナリストとして精密機械・半導体製造装置セクター担当。2017年、Institutional Investor誌 アナリストランキング1位、日経ヴェリタス人気アナリストランキング 精密半導体製造装置セクター 1位。著書に「爆発する太陽電池産業」(東洋経済)、「徹底解析半導体製造装置産業」(工業調査会)など。
【質問1】SiC関連ビジネスで、日本企業が伸ばすべき長所、解決すべき課題は何だと思われますか?
【回答】長所は、環境関連ビジネスの知見に恵まれていること
【質問2】SiC関連ビジネスでぶっちぎりの競争力を養うため、日本の半導体産業が行うべき施策は何だと思われますか?
【回答】産業クラスター化
【質問3】SiC関連ビジネスで強みを継続できる状態にするため、日本の半導体産業が行っておくべき施策は何だと思われますか?
【回答】徹底的なスパイ対策

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