庭やベランダに複数の生物が共生した小さな生態系をつくる“ビオトープ”というものをご存じだろうか。住宅街などを歩いているとき、水草を浮かべた鉢の中でメダカを飼っているものを見たことがある人もいるだろう。それがビオトープである。水草が水中に酸素を供給し、メダカの餌となる藻を育て、メダカのフンや死骸は土の中のバクテリアが分解して水草を育む養分を生み出すといったものだ。今では、理科の体験学習としても取り入れている学校もあるという。

 ビジネスや業務は、大なり小なりの生態系の中で営まれている。1社だけで全ての機能が完結しているビジネス、1台の機械で1工程だけで構成されている生産ラインは稀だろう。複数社の機能がからみ合ってビジネスが構築され、複数工程が組み合わさってラインが形成されているのが普通だ。こうした生態系の中では、1つの会社、1台の機械に画期的な革新が起きれば、生態系の中の他の部分にも効果が波及していく。人工知能(AI)やIoTの導入で期待しているのは、まさにこうしたビジネス全体、業務全体の改善だろう。

 AIやIoTの活用に向けた概念実証(Proof of Concept:PoC)の実施に際して、「PoC疲れ」を起こすことなく、AIとIoTを効果的に活用していくための方策について議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、東芝デジタルソリューションズ でインダストリアルIoTの事業・ビジネスの企画などを担当している福本 勲氏である。同氏は、PoCを実施する対象を考えるとき、ビジネスやラインなどの一部分だけを切り出して効果を調べるのではなく、ビオトープのような完結した生態系を持つ小さな対象を検証することの大切さを説いている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
福本 勲(ふくもと いさお)
東芝デジタルソリューションズ インダストリアルソリューション事業部 デジタルトランスフォーメーション推進部 担当部長
福本 勲(ふくもと いさお) 中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに従事。現在は東芝デジタルソリューションズにてインダストリアルIoTの事業・ビジネスの企画、マーケティングを担う。一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)エバンジェリスト。ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)WG1 IoT による製造ビジネス変革メンバーなどを務める。
【質問1】そもそもAIやIoTを活用して業務課題の解決や新ビジネスを創出するうえで、PoCの実施は必須なのでしょうか?
【回答】実際の事業・ビジネスをコンパクトに反映し、PoCを行うことが必要
【質問2】PoC疲れを起こさないようにするためには、実施に際してどのような点に留意すべきだと思われますか?
【回答】 PoCは投資と効果を見極めるための活動であると認識することが必要
【質問3】PoC疲れを起こした組織を立て直し、新たなPoCを実施していくためには、どのような対処をすべきだと思われますか?
【回答】組織や企業の枠組みを超え、人材を流動化させるような組織化が必要

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