液晶パネルの大型投資にのめり込む前のシャープは「身の丈経営」を徹底する会社だった。しかし、2000年以降、すべてを投げ打って液晶に経営資源を集中させ、散っていった。液晶に集められた経営資源の中には、半導体の開発や製造に向けた投資も含まれていた。

 液晶の会社になる以前のシャープは、任天堂の「ファミリーコンピューター」向けゲームソフトを収めるマスクROMで微細加工技術を推し進めていた。同社には、自社製品の商品価値を高めるための先進的なASIC設計体制があり、微細加工技術を活用した競争力のあるチップを内製できていた。ただし、今では培った設計力を生かして8Kテレビ用のチップセットを自社開発できても、自社の生産ラインでは生産できない状況だ。同社の半導体製造ラインが、20世紀の産物だからだ。

 鴻海精密工業の半導体事業の行方を考えるうえでの視点を抽出している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、鴻海が半導体事業を保有することのインパクトと必然性を説きながら、その一方でそれを実現することがいかに難しいことなのか論じている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし)  大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】鴻海の半導体内製で、同社の顧客である機器メーカーにはどのようなインパクトがあると思われますか?
【回答】先端半導体を内製するのなら、新製品発売前の秘密保持が可能で、トータルの製造コスト削減も期待できる便利なワンストップ・ソリューションビジネスの誕生
【質問2】そもそも、鴻海による中国での半導体製造は実現できると思われますか?
【回答】技術的、政治的、経済的理由で、短期的には実現可能とは思わない。長期的にはあきらめることなく実現を目指すだろう
【質問3】鴻海による半導体製造が実現したとすれば、半導体業界にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】どのような製品を作るか(作る能力があるか)によって影響度は異なる。先進EMSの半導体事業参入は既存半導体メーカーのシェアを奪う

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