台湾の鴻海精密工業グループが、マカオに隣接する中国広東省珠海市に大規模な半導体工場を新設する計画を進めていることが明らかになった。新工場には子会社であるシャープが持つ半導体技術を活用するという。既に、建設に向けて地元当局と最終調整を進めているとされ、地元政府も投資し、最終的な投資額が1兆円規模に上る可能性があるとの見方もある。

 鴻海は世界一のEMS(電子機器の受託製造サービス)である。液晶パネルに続いて半導体も自社グループで調達できれば、これまでにない電子機器製造のビジネスを展開してくるのではという予感がある。また、最先端プロセスの半導体ファウンドリーが台湾TSMCに限定されるようになった時代の新たな選択肢にもなるかもしれない。

 一方で、この計画の実行は一筋縄では行かないような気もする。

 まずは米中貿易摩擦への影響。中国は、「中国製造2025」に沿って、半導体の国産化を強力に進めている。今回の鴻海の計画はまさに中国政府の狙いに沿ったものだと言えよう。その一方で、米国政府の怒りを招くことは必然ではないか。また、シャープの半導体技術を活用すると言うものの、世界一のEMSが求める半導体を作る力を持っているかと言えば疑問だ。

 そこで今回のテクノ大喜利では、鴻海の半導体事業の行方を考える上での視点を抽出した。最初の回答者は野村証券の和田木哲哉氏である。同氏は、EMSビジネスと半導体ビジネスの注力点の違いや先端半導体技術を立ち上げることの難しさを論点に、鴻海の半導体内製が本当に実現できるのか論じている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
和田木 哲哉(わだき てつや)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
和田木 哲哉(わだき てつや)  1991年早稲田大学 教育卒。東京エレクトロンを経て、2000年に野村證券入社。アナリストとして精密機械・半導体製造装置セクター担当。2017年、Institutional Investor誌 アナリストランキング1位、日経ヴェリタス人気アナリストランキング 精密半導体製造装置セクター 1位。著書に「爆発する太陽電池産業」(東洋経済)、「徹底解析半導体製造装置産業」(工業調査会)など。
【質問1】鴻海の半導体内製で、同社の顧客である機器メーカーにはどのようなインパクトがあると思われますか?
【回答】あるはずがない
【質問2】そもそも、鴻海による中国での半導体製造は実現できると思われますか?
【回答】最先端は頓挫。準先端半導体の製造は高い確率で大成功
【質問3】鴻海による半導体製造が実現したとすれば、半導体業界にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】鴻海がとてつもなく強いポジションを得る

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