一時期、人工知能(AI)の驚異的な力を喧伝(けんでん)するテレビ番組が相次いで放送される時期があった。「囲碁の名人を負かした」「犯罪者が現れる場所と時間を先回りして予測した」といった分かりやすい事例の数々は、AIの可能性を多くの人が知るきっかけを生み出した。しかし、こうした事例での成果が、どのような条件下で、どのような技術の裏付けで得られたものなのか丁寧に説明されているわけではなかった。限られた放送時間内でそこまで解説することはできず、興味のある人は自分で調べる必要があったのである。

 誰もが目を見張るAIの応用事例は、これまでITに興味がなかった人にも十分なインパクトをもたらした。その結果、多くの人がAIに対する過大な期待や恐れを抱くようにもなったように思える。未知の技術に対する根拠のない期待や恐れを抱くような状況は、「写真撮影をされると魂を抜かれる」と信じる人がいた時代をも彷彿(ほうふつ)させる。こうした中で進められるAIの活用は、実際に技術を扱うエンジニアなどに、これまでとは違った苦労を課しているように思える。

 AIやIoTの活用に向けた概念実証(Proof of Concept:PoC)の実施に際して、「PoC」疲れを起こすことなく、AIとIoTを効果的に活用していくための方策について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、AIやIoT向けソリューションの開発とその実装で実績のあるフィックスターズの塩田靖彦氏である。同氏は、AIやIoTの活用に関わる関係者個々の期待値や技術理解の度合いが異なる状況下でPoCを実施することの意義と、それを効果的に進めるための視点を提示している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
塩田靖彦(しおた やすひこ)
フィックスターズ ソリューション事業部長
塩田靖彦(しおた やすひこ) 日本アイ・ビー・エムで国内外の半導体プロセスおよび液晶パネルの生産技術開発を中心に従事し生産技術開発部長を担当。その後テクノロジーソリューションを提案する部門の営業部長として国内の製造装置・医療機器分野を担当。2016年にフィックスターズに執行役員兼ソリューション事業部長として参画。医療や金融、産業機器分野でのソフトウエア高速化サービスやIoT向けAIソリューションなどのビジネスを主導している。
【質問1】そもそもAIやIoTを活用して業務課題の解決や新ビジネスを創出するうえで、PoCの実施は必須なのでしょうか?
【回答】 AIやIoTなどふわっとしたものこそPoCが必要
【質問2】PoC疲れを起こさないようにするためには、実施に際してどのような点に留意すべきだと思われますか?
【回答】コンセプトを評価できるパラメーターの明確化が重要
【質問3】PoC疲れを起こした組織を立て直し、新たなPoCを実施していくためには、どのような対処をすべきだと思われますか?
【回答】業務課題を明確化し経営陣と共有すること

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