電子産業やIT産業において大きな技術的転換が起きるとき、極めて大きな仕事をやってのける企業がある。米IBMである。同社は、その時点で主流とはいえない大きな潜在能力を秘めた新技術を発掘し、いち早く実用化の筋道を示すことで他を圧倒する業績を生み続けてきた。

 大きなコンセプトレベルの革新もあれば、小さな製造手法レベルの革新もあるが、とにかく既成概念の枠にとらわれない、他社の虚を突く合理的発想こそがIBMの持ち味だ。例えば半導体の世界では、チップ上の配線材料はAl(アルミニウム)が当たり前の時代にCu(銅)を導入したのはIBM、ミクロンレベルやナノレベルの微細加工を施したチップを研磨剤でゴリゴリと削って平坦(へいたん)化するという現在主流のプロセス技術である化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を実用導入したのもIBM、高品質での加工は困難と言われていたSi(シリコン)ウエハーの中に酸化膜が埋め込まれたSOI(Silicon on Insulator)構造の素子を実用化したのもIBM。ニッチでよく分からないという人もいるかもしれないが、それぞれの分野では驚天動地の、とにかく先見の明にあふれた仕事ばかりだ。

 今、コンピューターの世界ではNeumann(ノイマン)型コンピューターの進化が怪しくなり、半導体の世界ではMoore(ムーア)の法則の先行きがさらに怪しくなってきている。長きにわたって電子業界やIT業界が頼ってきた技術の大黒柱が揺らぐような時代こそ、IBMの出番なのかもしれない。思い返せば、現在人工知能(AI)と呼ばれる機械学習を用いた推論が大きな可能性を秘めていることを示した「Watson」もIBMだ。回答者それぞれの視座から見た、2019年注目の動きを挙げていただいている今回のテクノ大喜利。7番目の回答者は、東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、現在のIBMに感じる、2019年に何かしでかしそうな期待感を論じた。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
石野 雅彦(いしの まさひこ)
東海東京調査センター シニアアナリスト
石野 雅彦(いしの まさひこ)  山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、ディスプレー、通信などテクノロジー企業および産業を対象にした調査・分析に従事している。
【質問1】2019年に注目するトピックスのキーワードを1つお聞かせください。
【回答】アメリカン・インジェニュイティー
【質問2】2019年の動向に注目している企業を1社挙げてください。
【回答】 IBM
【質問3】2019年の動向に注目している技術もしくは製品・サービスを1つ挙げてください。
【回答】量子コンピューター

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