米ゼネラル・エレクトリック(General Electric)は、発明王トーマス・エジソンが1892年に創立してから126年たつ老舗企業である。長く事業を行っている企業の常だが、その間、単純に右肩上がりで成長してきたわけではない。大業を成してきた老舗企業の多くは、既存ビジネスにこだわることなどできないほどの危機に直面し、イノベーションの創出が迫られた経験があるのではないか。米IBMしかり、独シーメンス(Siemens)しかり、日立製作所しかりである。今の東芝もそうなのかもしれない。

 思えば、世界中の企業経営者が経営の範としたジャック・ウェルチが登場したのも、GEが危機的状況でのタイミングだった。確かに現状GEは、産業IoTのプラットフォームビジネスで、思い通りにいかない壁に突き当たっている。GEの全事業を見ても総じて危機的状況だ。同社のあらゆる戦略の見直しが必須なのだろう。

 しかし、GEの苦境は産業IoT自体の価値を毀損する出来事なのだろうか。そして、GEの産業IoT関連事業は後退一方で消え去っていくものなのだろうか。2018年10月に就任したローレンス・カルプ氏が“Nextウェルチ”となり、同社が掲げる産業IoTが新たなフェーズに突入する可能性もあるのではないか。

 産業IoTという画期的なコンセプトを出しながら、苦境に陥っているGEの現状から、IoTシステムの活用に取り組む企業が留意すべき教訓を得ることを目的とした今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、東京理科大学大学院の関孝則氏である。同氏は、大手クラウド・サービス・ベンダーで、IoTに関係した複数の開発案件に取り組んできた経験を持つ。競合としてのGEのIoTプラットフォームに対峙してきた。自身の経験を交えながら、GEの行方とIoTを活用する際の要諦を語った。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
関 孝則(せき たかのり)
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 教授
関 孝則(せき たかのり) 2017年より東京理科大学の社会人大学院にて技術経営の教鞭をとる。前職セールスフォース・ドットコムの常務執行役員で、IoTなど最新技術を軸にしたビジネス開発を担当。日本アイ・ビー・エムにて技術理事、グリッドやLotus Notesなどの新規事業の技術担当、 米国IBMにて、本社技術戦略スタッフ、 メインフレーム開発、著作権侵害調査などに従事。
【質問1】GEが自社のIoTプラットフォームのビジネスを多方面に展開できなかった原因は、どこにあると思われますか?
【回答】フォーカスを失った拙速なIoTプラットフォームの展開をしてしまった
【質問2】IoT関連のプラットフォームを提供する企業には、一般的クラウドサービスとは別の、どのような技術や知見、スキルが求められると思われますか?
【回答】一般のITとは異なるIoT固有のデータの不確実性を適切に扱うスキル
【質問3】製造業企業がIoTプラットフォームを活用して効果的なIoTシステムを構築・運用するためには、どのような知見やスキルを自社内で準備しておく必要があると思われますか?
【回答】機器、データ、人、業務プロセスを広く見渡せるプロフェッショナル

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