ビッグデータは価値と富を生み出す打ち出の小づちだ。これを持つ企業は、持っていない企業からは反則に見えるほど圧倒的な力を持つに至った。ただし、ビッグデータから生み出される価値を、多くの企業や個人が活用し、そのメリットを享受しているのも確かだ。GAFAなど巨大IT企業が打ち出の小づちを振り続けるのを、私たちは半分苦々しく、もう半分はありがたく見ているところがある。

 巨大IT企業が活用しているビッグデータは、個人情報や行動履歴の集合体だ。病院で初診時に書く問診票や商品購入時に問われるアンケートなどに書いた内容に、所有権を主張する人はまずいない。しかし、それが莫大な価値と富を生み出すと分かったとたんに、ビッグデータの所有権を主張したくなる気持ちも分からないではない。

 GAFA流ビジネスに対する規制は、プライバシー保護などの観点から語られることが多い。しかし、その本質には、巨大な富の源泉となったビッグデータの所有権争いがあることは確かだろう。世界中に広がるGAFA包囲網によるIT業界の変調の影響を、さまざまな利害関係の視点から議論している今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、富を生み出すビッグデータの公共資産化の可能性について考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
石野 雅彦(いしの まさひこ)
東海東京調査センター シニアアナリスト
石野 雅彦(いしの まさひこ)  山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、ディスプレー、通信などテクノロジー企業および産業を対象にした調査・分析に従事している。
【質問1】GAFA流ビジネスを規制する動きが広がることで、ネット関連サービスやクラウドサービスの市場にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】ビッグデータが公共の資産であるとの認識が広がる。企業が活用するには規制に基づいた対価の支払いが必要となり、その対価に基づいて公共のシステム構築や安全性が担保される
【質問2】GAFA流ビジネスを規制する動きによって、プラットフォーマー以外のIT企業には、どのような商機・リスクが生まれると思われますか?
【回答】 GAFA流ビジネスが規制されても、第5世代の「データ・ドリブン・コンピューティング」への移行は不変。その周辺産業にはビジネス機会が生まれる。既存ビジネスだけに執着する企業は百年に1度の変革に押し流される
【質問3】GAFA流ビジネスの規制によって、半導体産業などコンポーネント産業にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】 GAFA流ビジネスの規制の導入は、反トラスト(独占禁止)当局の判断基準に抵触するか否かで決まるものである。規制の動きに、産業の成長を妨げる意図はないとみられる

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