人類の歴史の中では、功罪両面で世界に大きな影響を及ぼした、強大なイノベーター国家が何度か生まれている。例えば、文字や単位を統一し、法による支配という斬新なコンセプトを打ち出した秦帝国は、既存の価値観にそぐわぬ改革を急いだためさまざまな軋轢(あつれき)を生じさせた。そして、利権を独占する巨大な存在が弱体化すると、その後は新しい秩序に向けて新興勢力が争う時代に突入するというのがお決まりのパターンだ。秦帝国も、始皇帝の崩御後に一気に崩壊の道をたどり、混乱の時代に突入した。

 現在のGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)は、まさに功罪両面を持つ強力な存在だと言える。そして、世界の多くの政府が、GAFAさらには同様の強みを持つ中国のBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)の罪の部分が看過できず、それらのビジネススタイルにストップを掛ける施策を次々と打ち出している。これによって、現在の巨大プラットフォーマーの力がそがれることは確実だろう。そして、次の興味は、巨大プラットフォーマーが保有していた利権が、どのように分散し、それを誰が、どのような論理で保有することになるかという点だ。新しい秩序に向けた競争はもう始まっているのかもしれない。

 世界中に広がるGAFA包囲網によるIT業界の変調の影響を、さまざまな利害関係の視点から議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、GAFAの弱体化を新興勢力にとっての新たな商機ととらえ、新たな秩序に向けた競争の視点を考察している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし)  大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】GAFA流ビジネスを規制する動きが広がることで、ネット関連サービスやクラウドサービスの市場にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】規制が厳しければ一時的に市場が縮小することはあっても、長期的には市場は拡大する
【質問2】GAFA流ビジネスを規制する動きによって、プラットフォーマー以外のIT企業には、どのような商機・リスクが生まれると思われますか?
【回答】①各国のIT企業が ローカルなプラットフォーマーに成長するチャンス
②ベンチャー企業が非集中型ウェブでグローバルなプラットフォーマーの集中型ウェブに対抗するチャンス
【質問3】GAFA流ビジネスの規制によって、半導体産業などコンポーネント産業にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】規制が厳しければ短期的には半導体やコンポーネントの売り上げが下落する可能性がある。しかし、長期的にはデータエコノミーは発展するので、半導体・コンポーネント産業も成長する

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