7nmプロセス開発の無期限停止を宣言した米グローバルファウンドリーズ(GLOBALFOUNDRIES)のCEOであるTom Caulfield氏は、「私たちの大口顧客から7nmチップに対する需要はない」と言った。同社による最先端プロセス開発からの離脱によって、現時点で7nmチップのサプライヤーとなったTSMC。同社は、最先端チップ製造での独占的立場を利用して、価格の引き上げに出るのではと見る向きもある。

 しかし、独占しているからといって、本当に価格を簡単に引き上げることができる状況なのだろうか。そして、現在の半導体業界において最先端チップの製造で独走することにうまみがあるのだろうか。もちろん、最先端プロセスを立ち上げて、製造する際のコストに見合った先行者利益が得られれば問題はない。独走するTSMCにとっての不安要因は、ユーザー企業がついてきてくれるのかという点だ。

 先端プロセスによるチップ製造を託すファウンドリーがTSMCだけになったことの波及効果について議論している今回のテクノ大喜利。6番目の回答者は東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、TSMCの最先端チップの製造コスト、そして7nmプロセスで製造したチップを搭載するスマートフォン(スマホ)の市場の現状などを鑑みて、TSMCに本当にうまみがあるのか考察した。また、TSMCの業績を分析した豊富なデータも提供していただいた。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
石野 雅彦(いしの まさひこ)
東海東京調査センター シニアアナリスト
石野 雅彦(いしの まさひこ)  山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、ディスプレイ、通信などテクノロジー企業および産業を対象にした調査・分析に従事している。
【質問1】先端プロセスでチップを生産できるファウンドリーがTSMC1社になったことで、応用市場にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】7nmおよび10nmなど最先端のファウンドリー価格は、300mmウエハー1枚当たり1万米ドルを優に超える。その価格で製造した半導体を搭載した商品を販売した企業が十分な収益性が得られるかが重要な課題になる
【質問2】先端ファウンドリー・ビジネスがほぼ独占状態になったことで、TSMCは、これまでとは異なる施策を採ると思われますか?
【回答】7nm対応の半導体製品においてのTSMCの寡占的優位性が、将来的にも維持できるかは流動的。これまでとは異なる施策を採る必要性が出てくる
【質問3】GLOBALFOUNDRIESも精査した上での最先端プロセスからの撤退だと思います。TSMCの先端プロセスのビジネスは、今後も継続できると思われますか?
【回答】 TSMCは最先端のファウンドリー・ビジネスが優位な地位にあるだけに、四半期ごとの業績は米中貿易摩擦、中国スマホの需要後退、サーバー需要の停滞、などマクロ要因の変動の影響を受けやすくなっている

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