スマートフォンも、人工知能(AI)も、仮想通貨のマイニングも、独自半導体の開発が他社に対するビジネスの優位性を生み出すためのポイントになってきている。例えば、2018年に米アップル(Apple)が発売した「iPhone」新製品の目玉は、高性能な独自プロセッサー「A12 Bionic」だった。こうした高性能なチップをいち早く投入できるからこそ、同社は独自性の高いユーザーインタフェースや高付加価値サービスを展開できる。そして、今のところ、最先端チップの製造を委託できる先は、TSMCただ1社になってしまった。

 確かに、チップの設計が独自ならば、性能や機能を差異化できるかもしれない。しかし、それを製造するファウンドリーが1社独占になってしまったら、その調達時期や価格には大きな影響が出ることだろう。差異化要因となるチップの調達に、大きなリスクが生まれたことになる。同様のリスクは、自動運転車などにも波及することだろう。

 米グローバルファウンドリーズ(GLOBALFOUNDRIES)が、7nm FinFETプロセスの開発を無期限に停止すると発表し、先端プロセスによるチップの製造を託せるファウンドリーがTSMCだけになったことの波及効果について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし)  大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】先端プロセスでチップを生産できるファウンドリーがTSMC1社になったことで、応用市場にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】チップ価格はTSMC主導で決まるので最終製品の高価格化をもたらし、各社新製品の発売時期や性能もTSMCが決めた優先順位や微細化の進捗次第となってしまう
【質問2】先端ファウンドリー・ビジネスがほぼ独占状態になったことで、TSMCは、これまでとは異なる施策を採ると思われますか?
【回答】ライバルとさらに差異化を図るため、さらなる微細化を急ぐ。顧客が極端に減るようならば、著しく巨額化する開発費や設備投資費を顧客に分担要求せざるを得なくなるだろう
【質問3】GLOBALFOUNDRIESも精査した上での最先端プロセスからの撤退だと思います。TSMCの先端プロセスのビジネスは、今後も継続できると思われますか?
【回答】顧客が微細化を要求する限り継続できると思う

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