2018年8月27日、米グローバルファウンドリーズ(GLOBALFOUNDRIES)が、7nm FinFETプロセスの開発を無期限に停止すると発表した。開発を継続し、設備投資をしても、投資回収に見合った需要がないというのがその理由である。同社は7nmより微細なプロセスの開発も行わない。これによって、量産の微細化に意欲を見せているのは、台湾TSMC、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、米インテル(Intel)の3社となった。

 ただし、SamsungとIntelは、ファンドリー事業は行っているものの本業ではない。このため、多くのファブレス・メーカーにとって最先端の半導体プロセスを利用する場合には、TSMCを選ぶしかなくなった。EUV露光が実用化に向かい、微細加工技術のさらなる進展に光明が差している状況でのファンドリー大手の撤退は、衝撃的な出来事である。

 現在、TSMCは、さまざまなファブレス半導体メーカーのチップを生産している。AIや自動運転で時代の寵児となった米エヌビディア(NVIDIA)のGPUを始め、米アップル(Apple)や中国ファーウェイ(Huawei)などがスマートフォンに搭載している独自チップ、さらには米クアルコム(Qualcomm)や台湾メディアテック(MediaTek)などのチップセット、そして米ザイリンクス(Xilinx)のFPGA…。2018年7月には、米グーグル(Google)のAIチップ「TPU」の次世代版の生産も受注した。まさに、世界を動かす企業の武器となる半導体チップの生産を一手に引き受けている状態である。あらゆる産業の未来の命運がTSMC1社に委ねられるような状況は、世界が大きなリスクを抱えたと言えるのではないか。

 今回のテクノ大喜利では、先端プロセスでのチップ生産を託せるファウンドリーがTSMC1社だけになってしまったことの波及効果について議論した。最初の回答者は野村證券の和田木哲哉氏である。同氏は、本当にTSMCによる独占状態になったとき、電子業界全体に訪れる暗い未来を語っている。そして、今回の回答では最後に意味深な一言も…。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
和田木 哲哉(わだき てつや)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
和田木 哲哉(わだき てつや)  1991年早稲田大学 教育卒。東京エレクトロンを経て、2000年に野村證券入社。アナリストとして精密機械・半導体製造装置セクター担当。2017年、Institutional Investor誌 アナリストランキング1位、日経ヴェリタス人気アナリストランキング 精密半導体製造装置セクター 1位。著書に「爆発する太陽電池産業」(東洋経済)、「徹底解析半導体製造装置産業」(工業調査会)など。
【質問1】先端プロセスでチップを生産できるファウンドリーがTSMC1社になったことで、応用市場にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】ファウンドリーが産業の浮腫のように膨れ上がる
【質問2】先端ファウンドリー・ビジネスがほぼ独占状態になったことで、TSMCは、これまでとは異なる施策を採ると思われますか?
【回答】利益極大化策に走るのが経営のセオリー
【質問3】GLOBALFOUNDRIESも精査した上での最先端プロセスからの撤退だと思います。TSMCの先端プロセスのビジネスは、今後も継続できると思われますか?
【回答】前提が異なる。事態は予想もしない次の展開へ

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