ルネサス エレクトロニクスは、2018年9月11日、アナログ、ミックスドシグナル製品を扱う米Integrated Device Technology(IDT)を7330億円で買収すると発表した。ルネサスは、経営危機から脱して間もない2017年2月にアナログ半導体メーカーである米Intersilを3200億円で買収している。ルネサスが強みを持つマイコンやパワーマネージメント製品の周辺で用いるアナログ関係の分野を強化するのに、合計で1兆円を超える費用を投じることになる。

 近年のIDTは、データセンターや通信インフラ、さらにはメモリーインターフェースで利用するタイミング製品を主力製品とし、近年ではスマートフォンなどの充電に用いるワイヤレス給電関連製品の強化・充実に注力していた。これに加え、RF関連製品や2015年に買収した独ZMDIが扱っていた車載用センサー事業を保有している。

 今回の買収の理由として、ルネサスは、(1)補完性が高い製品獲得によるソリューション提供力の強化と(2)事業成長機会の拡大を挙げている。補完性が高い製品の獲得という側面では、車載や産業機器といったルネサスのマイコンが強い領域でのソリューション開発力の強化が狙いだという。一方、事業成長機会の拡大では、IoTシステムのエッジ側データを伝送する部分、さらにはデータセンターや通信インフラの増強に付随する部分での事業拡大を狙うとしている。

 今回の買収について「ルネサスが元気になってきていることは分かった。しかし、この組み合わせが効果的なのか今ひとつピンとこない」という声を多く聞く。今回のテクノ大喜利では、今回の買収の効果について議論した。最初の回答者は服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし)  大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】今回の買収によって、ルネサスは、データセンターや通信インフラの成長に付随する市場で強いビジネスを展開できると思いますか?
【回答】市場の隙間のニッチな商品で弱いビジネスは行えても強いビジネスを展開できるとは思わない
【質問2】今回の買収によって、現在のルネサスの主力事業である車載用マイコン事業は強化されると思いますか?
【回答】強化されるほどのシナジー効果を発揮できるとは思わない
【質問3】7330億円という買収額は、予想される効果を鑑みて、妥当な額だと思いますか?
【回答】効果が不明確なので妥当な額とは思えない

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