米Appleは、米国時間の2018年9月12日、「iPhone」の新製品、「iPhone XS」「iPhone XS Max」、廉価版の「iPhone RS」を発表した。この時期の新製品発表は、恒例化しており発表された製品の内容も完全に予想の範囲内のものだった。進化した部分は、有機ELディスプレー採用の拡大、7nmプロセスで製造しニューラルエンジンを採用して高速化されたプロセッサーの採用、顔認証「Face ID」の高速化、防水防塵機能の向上など。ただし、ワクワク感があった過去のiPhoneの発表会に比べると、円熟感さえ感じるものだった。

 Appleは、2018年8月2日、米国企業として初めて時価総額が1兆米ドルを超えた企業になった。iPhoneなど魅力的な製品、さらにはそれに付随する高付加価値なサービスの相乗効果で、いまや企業として1つの到達点に達した感がある。同社は、「地球環境のため1つの端末を長く使って欲しい」という、ものづくり企業としては珍しい余裕のメッセージも出している。もはや、買い換えを後押しするような施策に注力しなくてもiPhoneユーザーの地盤は固く、そこで価値あるサービスビジネスを展開できる自信があるようにも見える。

 Appleは、破壊的創造によって成長してきた企業である。「iPod」と「iTunes」で過去の音楽コンテンツの流通市場を破壊して新市場を創出し、そしてiPhoneによってiPodという自社製品さえも過去のモノにした。そして、あまり新味を感じなくなった今のiPhoneを見るにつれ、そろそろ破壊の時が近付いているのではとも思える。

 そこで今回のテクノ大喜利では、iPhoneという圧倒的プロダクトの今後と、近い将来のAppleによる破壊的創造の是非について議論した。最初の回答者は野村證券の和田木哲哉氏である。同氏は、ジョブズ亡き後のAppleに、天才の偶像に頼らない経営への移行を薦めている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
和田木 哲哉(わだき てつや)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
和田木 哲哉(わだき てつや) 1991年早稲田大学 教育卒。東京エレクトロンを経て、2000年に野村證券入社。アナリストとして精密機械・半導体製造装置セクター担当。2017年、Institutional Investor誌 アナリストランキング1位、日経ヴェリタス人気アナリストランキング 精密半導体製造装置セクター 1位。著書に「爆発する太陽電池産業」(東洋経済)、「徹底解析半導体製造装置産業」(工業調査会)など。
【質問1】現在のような順当なハードウエアの進化を繰り返すことで、スマートフォンでのiPhoneの強いポジションを今後も維持できると思いますか?
【回答】無理
【質問2】今後、Appleが新たなサービスビジネスを創出していくうえで、ハードウエアの革新的な進化は必要だと思いますか?
【回答】必要ない
【質問3】Appleが今後も成長していくため、iPhoneという現状の強力なプロダクトに取って代わるような破壊的創造が必要だと思いますか?
【回答】不要。天才に頼らない強さを養うキヤノンを見習う時期がくる

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