韓国サムスン電子(Samsung Electronics、以下Samsung)が保有していた、さまざまな分野の世界一のタイトルを中国企業が1つ、またひとつと順に奪っていく。液晶パネルしかり、スマートフォンしかりである。現在、電子業界で起きていることは、このようなことだ。

 なぜSamsungの事業が中国企業の標的になるのか。それは、Samsungは、迅速な判断で巨額の資金を動かす力が強みとなるビジネスを選んで現在の地位を築いてきたからではないか。同様の強み、しかもより強力な強みを持つのが、国家と一緒になって投資戦略を実行する中国企業である。当然、ターゲットは同じになる。

 Samsungが世界一のタイトルを維持するメモリー事業が、今、次の標的になっている。当然のように、中国企業の強みが生きる事業である。しかし、Samsungは現時点で近い将来に世界一の座に就く可能性がある新事業を、未だに育成できていない。まさに背水の陣だ。同社にとって悩ましいのは、これまでの勝ちパターンが通用するようなビジネスは選択できないこと。同社が得意なことは、おそらく中国企業も得意だからだ。

 投資王Samsungの目線から、好況が続くメモリー市場の位置付けと同社の投資資金のやり繰りが同市場に与える影響を議論している今回のテクノ大喜利。4番目の回答者はGrossbergの大山 聡氏である。現時点での中国企業の脅威は遠雷が鳴っているような状態であり、メモリー市場はいまだSamsungの管制下にある。大山氏は、Samsungにとって最大・最後の事業基盤であるメモリー事業を徹底防衛するための経営リソースの集中を薦めている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
大山 聡(おおやま さとる)
Grossberg 代表
大山 聡(おおやま さとる)  1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年よりIHS Markitで、半導体をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。2017年9月に同社を退社し、同年10月からコンサルティング会社Grossberg合同会社に専任。
【質問1】現時点でのSamsung Electronicsは、メモリービジネスでの投資が調整局面にあるように見えます。これは正しい判断だと思われますか?
【回答】正しい判断だと思う
【質問2】Samsung Electronicsが取り組むビジネス領域(半導体以外も含めて)の中で、現時点でもっと積極投資すべきと思われる分野はどれですか?
【回答】「設備投資」としては、引き続きメモリー事業に積極投資すべきだと思う
【質問3】巨額投資案件を数多く抱えるSamsung Electronicsの、メモリービジネス専業のメーカーに対するメリットもしくはデメリットは何だと思われますか?
【回答】メリットは限定的で、ヒト・モノ・カネといった社内リソースの分散がデメリットとなる可能性がある

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