ソフトウエア産業やインターネット関連産業では、ものづくりを生業とするハードウエア産業とは違った勝ちパターンがある。

 ソフトウエア産業では、製品をいくら大量に販売しても、製造原価が増えることはない。開発元のベンダーは、基本的にコストをかけることなくコピーし放題だからだ。また、インターネット関連産業では、サービスの利用者が増えれば増えるほど、サービス自体の価値が増大する。ハードウエア産業では、製造する製品が増えれば大量生産の原理で製品1台当たりの製造コストは下がるが、価値が上がることはない。むしろ、希少性が損なわれる。

 ソフトウエア産業、インターネット関連産業、ハードウエア産業の企業は、それぞれ産業特性に合ったビジネスの勝ちパターンを探り出し、実践している。そしてこれからは、IoTや人工知能(AI)などの活用が進むことで、世の中のあらゆるハードウエアが、ソフトウエアやインターネットと無縁ではなくなってくる。その時、ハードウエア産業の企業は、これまで通りの勝ちパターンで生き残っていくことはできるのだろうか。

 日本のものづくり企業経営者の危機感の欠如を激しく糾弾している2018年版の「製造基盤白書(通称、ものづくり白書)」の総論(参考文献)を題材にして、日本のものづくりの危機の本質を議論している今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、東京理科大学大学院の関孝則氏である。同氏は、デジタル化が進むことによって、ハードウエア産業の特性がどのように変わっていく可能性があるのか示唆している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
関 孝則(せき たかのり)
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 教授
関 孝則(せき たかのり)  2017年より東京理科大学の社会人大学院にて技術経営の教鞭をとる。前職セールスフォース・ドットコムの常務執行役員で、IoTなど最新技術を軸にしたビジネス開発を担当。日本アイ・ビー・エムにて技術理事、グリッドやLotus Notesなどの新規事業の技術担当、 米国IBMにて、本社技術戦略スタッフ、 メインフレーム開発、著作権侵害調査などに従事。
【質問1】ものづくり白書 2018の総論の中で、特に共感した部分はどこですか?
【回答】デジタル化の大変革に対する経営者の認識が鈍いことを指摘していること
【質問2】ものづくり白書 2018の総論の中で、違和感を覚えた部分はどこですか?
【回答】ものづくりでのデジタル化の流れを、もっと積極的に、経営者目線で語る責任があるのではないか
【質問3】ものづくりの競争力を高めるため、「日本の経営者はここを改めるべき」と思われることをお聞かせください。
【回答】経営者の仕事は、デジタル化の号令を出すことではなく、そのための文化を醸成すること

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