半導体産業の企業が大きな収益を得るための王道は、なるべく大量のチップを生産し、安価に市場に供給することだ。どんなに莫大な額の、研究開発費や設備投資を投じても、それに見合った量のチップを売りさばくことができれば儲かる。だから自然と、半導体メーカー各社の投資体力がビジネスの強さに直結している。

 このビジネスのスタイルは、大量の演算素子を湯水のように使う従来型コンピューターにはうってつけだった。高性能なコンピューターを作るにはより多くの演算素子を利用する必要があるが、消費する素子の量が多ければ多いほど1素子当たりの生産コストが安くなり、コストパフォーマンスは常に高まるからだ。

 量子コンピューターが、従来の王道が通用する市場なのかは現時点で定かではない。量子コンピューターを応用する市場の特性も違うし、演算素子の構造やシステムのアーキテクチャーも大きく異る。半導体メーカーが量子コンピューター向けのチップを事業化する場合、この点の見極めが重要になってくることが予想される。

 量子コンピューターの産業化に伴う、半導体産業の貢献余地と新市場としての価値、また波及効果について議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、量子コンピューターを半導体チップの市場としてみた場合、ビジネスとして成立させるための条件について考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)  世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】量子コンピューターの実用化と産業化に、半導体産業はどのような貢献ができると思われますか?
【回答】プロセス面は貢献できる可能性があるが、アーキテクチャー設計は別物
【質問2】量子コンピューターの普及は、半導体ビジネスの成長に、どのような効果をもたらすと思われますか?
【回答】事業的には全くの別物であり、成長起爆剤になるわけではない
【質問3】量子コンピューターの活用で、半導体産業のビジネス運営や技術開発には、どのような波及効果があると思われますか?
【回答】少なくとも次世代デバイス設計などの技術面には波及性あり

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