「今フェラーリは、新しいステージに立とうとしています」。

 中部イタリアのボローニャ空港から1時間ほどのドライブでたどり着くマラネロにあるフェラーリ(Ferrari)本社。そこのオフィスで、チーフテクノロジーオフィサー(CTO)として、フェラーリ車の開発を総指揮するミハエル・ヒューゴ・ライターズ(Michael Hugo Leiters)氏は筆者にそう語った。

マラネロのオフィスでV8スポーツモデルの戦略を語るミハエル・ヒューゴ・ライターズ氏
(写真:筆者)
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 フェラーリの重役がインタビューに応じること自体、大変珍しい。まして、CEO(最高経営責任者)に次ぐ社内ナンバー2の地位にあるライターズ氏が、新車の戦略を語るなど、めったにない機会といえる。

 私が氏に会ったのは、日本でも2019年7月に発表された新型車「F8トリブート」の報道陣向け試乗会で、マラネロを訪れたタイミングでのことだ。

F1マシンなみの空力設計により高いロードホールディング性能、加速力、さらに高速巡航性能を有する「F8トリブート」
(写真:フェラーリ)
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 「F8トリブートは、従来の『488GTB』の後継モデルとして開発しました。ただし、488より性能を上げつつ、快適性と多用途性を高めたのも事実です」。

 ライターズ氏が指摘したのは、現在のフェラーリのミッドシップ(後車軸より前にエンジンを搭載する)V8のポジショニングだ。縦軸をドライビングエモーション、横軸をパフォーマンスとしたグラフの中で、488GTBの上にF8トリブートが位置している。

 F8トリブートは、「運転を楽しむすべてのドライバー」をターゲットに開発されており、速い(パフォーマンス)、かつ同時に、楽しい(ドライビングエモーション)を高めることを、ことさら意識したそうだ。

 この試乗会で出会った別の技術者の説明によると、「初めてフェラーリに接する人でも十分に楽しめるモデル」が、F8トリブートとなる。

「F8トリブート」とはこれまでのフェラーリのミッドシップV8モデルへのオマージュをもって名づけられており、4灯式テールランプは「308GTB」(1975年)をイメージしたものだそうだ
(写真:フェラーリ)
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 これまでフェラーリがそこまで踏み込んで、マーケティングプランを開陳したことがあったろうか。何よりも今回興味深い点は、性能と楽しさ(もう一つ「快適性」という要素も重要と説明された)でもって、フェラーリに新しい魅力を付与しようとしていることだ。

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