ドイツ・シーメンス(Siemens)のソフトウエア開発子会社である米シーメンスPLMソフトウェア(Siemens PLM Software)が、3D(3次元)プリンティング技術を用いた生産性向上に関する説明会を開催した。同社は、生産技術のデジタル化への対応としてアディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing:積層造形、以下AM)を提唱する。マーケティングを指揮する同社副社長のアーロン・フランケル氏が、生産技術などを紹介した(図1)。

図1 同社アーロン・フランケル氏
米シーメンスPLMソフトウェアの製造エンジニアリング・ソフトウエア・アディティブ・マニュファクチャリング担当副社長を務める。積層造形(AM)活用の具体例を提示しつつ、同社のソフトウエア技術を紹介した。
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AMにおける3Dプリンティングの活用

 現状の積層造形は、試作品の領域から量産品への適用に移りつつある。導入には、設計から技術開発、生産の計画立案、生産機能開発を含めて一貫性を持つ、効率的かつ信頼性の高いプロセスが必要とされる。同社は、品質と試作品の再現性の高さが望まれる大規模生産に向けた設計手法の確立を目標として、様々な段階でのアプリケーション・ソフトウエアの開発による生産プロセス全体のデジタル化を提唱する。

 米テキサス州に拠点を置く同社は、シーメンスのデジタルファクトリー事業本部のビジネス・ユニットの1つであり、その名にあるPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)とMOM(Manufacturing Operations Management:製造オペレーション管理)のソフトウエア、システムおよびサービス領域の世界的プロバイダーとされている。

 具体的な内容としては、同社が“デジタル・マニュファクチュアリング・プラットフォーム”と呼ぶ、NXによる自動化プログラムを使用した積層造形用設計システムは、設計・製造工程の最適化を3Dプリンティングによって実現する。「Siemens NX」と呼ばれるプログラムを用いた3~5回の試作では3Dプリンティングによって生じる生産品のゆがみや反り、リコーター(接着剤)の衝突の影響を精査して、生産段階の自動化を進めている。

 親会社のシーメンスは積層造形による生産全体のシステム管理を実現するために、2016年に金属3Dプリンターの設計生産企業である英マテリアル・ソリューションズ(Materials Solutions)を買収した。さらに同年、シーメンスPLMソフトウェアは3次元造形機および3Dプリンターの専業メーカーである米ストラタシス(Stratasys)と提携、ソフトウエアとハードウエアそれぞれの技術を組み合わせて、3Dプリンターによる積層造形に関するビジネス展開を拡大している。

 シーメンスは高分子/金属材料の素材を開発する材料研究部門や生産技術を開発するモーションコントロール事業部などと連携するなど、自社が擁する複数のテクノロジーを用いてビジネス全体を構築する。

 シーメンスPLMソフトウェアの取り組みの具体例として、ガスタービン・エンジンの設計の見直しがある(図2)。冷却通路の設計の見直しや、燃焼温度制御のシミュレーションなどにより、燃焼部の部品点数を13から1にできた。この結果、生産のリードタイムは26週から3週に短縮され、30%の生産速度の向上、50%の軽量化を実現したという。

図2 ガスタービン・エンジンの設計見直し
燃焼温度の制御のシミュレーションを実施して、冷却通路の設計や燃焼の最適化を実施。燃焼部のパーツ数を13個から1個に削減した。生産のリードタイムは26週から3週に短縮され、製品の50%軽量化を実現したとされる。
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 このように同社は顧客に対し、生産化のためのコンサルティングサービスも実施する。材料開発やコスト検討やスケジュールの検討まで、シーメンスPLMソフトウェアが最適化に用いるシミュレーションなどのプログラム・ツール開発を提供することで協業を進めており、積層造形の生産システムを米HPや米GEなどの大手企業に提供する。

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