筆者の記憶の中に強く残っている、2008年北京五輪の女子ソフトボール決勝戦。かっこいい上野由岐子選手のピッチングフォームと、優勝の瞬間に仲間が駆け寄ったシーンは、感激とともに今でもありありと思い出します。

 その日本女子ソフトボールチームの勝利は、ミズノのバットを使って得たものでした。想像ですが、女子チームにミズノのバットを使ってもらうための販促努力は大変なものだったのではないでしょうか。バットの性能ももちろん重要でしょうが、国の期待を背負ってオリンピックに出場する選手たちに、まずその性能を示して分かってもらわなければなりません。選手や監督の心に寄り添える担当者の人間性が非常に大切で、そこでの闘いが大変重要である気がします。ミズノの担当者は、チームに密着しフォローなさるため、朝は監督やトレーナーと一緒に走っていらしたそうです。

 オリンピックでの日本女子ソフトボールの成績は、1996年のアトランタ五輪では4位。このときは、金属2重管バットを使っていました。金属2重管バットは、ボールが当たる打球部の内部にパイプを入れて2重構造にしたバットです。2000年シドニー五輪では2位に躍進し、このときは金属2重管バットと繊維強化樹脂(FRP)のバットでした。その後、2004年アテネ大会は3位、2008年北京五輪でついに金メダルを獲得しました。

 今回は、バットの変遷を表にまとめました。もともと木製だったバットが、金属やFRPの多層構造に変化した様子を示したものです。

材料と構造の工夫で反発力が向上

 1990年代の終わりまでは、バットのメーカー間の競争のポイントは主に材料でした。金属やFRPだけでなく、ゴム・樹脂・ウレタン系などをコアとして打球部に入れたものもあったそうです。

 その後、多層構造が広く採用されるようになったのは、単層構造に比べ「トランポリン効果」を得られるためでした。打撃時にバットがたわんで、それが復原する力でボールを弾き返す効果です。このたわみと復元を大きくしていかに高い反発力を得るかがメーカー同士の競争ポイントでした。

 ところが最近になって、バット反発力を制限する規制が導入されました。打球の飛び過ぎを防ぐのと、打球初速を抑えて内野手(特に投手、三塁手、一塁手)の危険を減らすためです。今後は、反発基準内でのバットパフォーマンスの競争が激しくなるとみられています。

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