本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第122巻第1206号(2019年5月)pp.28-31に掲載された「スナップフィットの設計標準化」の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)

軽量で安価、異種材料も締結可能でリサイクルにも有利

 スナップフィット(1)~(4)は、位置決めと固定の機能によって部品の取り付けを可能にする機械的な締結部品である。図1に示すように、位置決めのためのロケーター(locator)、部品同士を固定し締結するロック(lock)、部品同士の締結強度を向上させる補強材(enhancement)から構成される。

図1 スナップフィット
(出所:機械学会誌)

 ロケーターは、部品同士を位置決めするための要素であり、凸形、表面形、凹形の3種類に分類される。ロケーターは単独では役割を果さず、2つの部品に取り付けられているそれぞれのロケーターが組み合わされたときに部品間の拘束を可能にする。ロケーターと補強材は、高剛性と位置決め精度が要求される。

 ロックは一部が弾性的にたわんで挿入を可能にし、元の形に戻って締結するため、柔軟性が要求される一方、強度が低くなりやすい。そのためロックは取り付け方向と反対の方向に拘束する場合に使用され、他方向はロケーターにより拘束する場合が多い。ロックは5種類に分類でき(カンチレバーロック、プラナーロック、トラップロック、トーショナルロック、アニュラーロック)、その中でもカンチレバーロックはスナップフィットとして最も最も一般的であり、組み立て/分解を可能にするためのたわみ部と、拘束するための保持部から構成される。

 スナップフィットには以下の利点がある。

(1)部品点数を少なくでき、軽量化が図れる。

(2)単純な形状をしており、安価である。

(3)形状設計に自由度があり、さまざまな異種材料の組み合わせにも対応可能である。

(4)組み立てに特殊な工具を必要とせず、組み立て作業性に優れている。

(5)分解作業も容易であり、保守、修理、リサイクルに優れている。

(6)接着剤や潤滑剤などが不要なため、クリーンな環境下で使用可能である。

一方、スナップフィットには以下の注意点がある。

(1)成形精度に限界がある。

(2)使用できるプラスチック材料には、多少の制限がある。

(3)プラスチック材料を繰り返し使用する場合には、疲労破壊を考慮する必要がある。

(4)高温および低温環境下などでの使用には注意が必要である。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら