本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第121巻第1194号(2018年5月)pp.20-22に掲載された「機械の中部点検 1:非破壊検査を専門とするおじさんたちの解釈」の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)
日本機械学会は創立120 周年記念事業として「未来マップ作成プロジェクト」を立ち上げた。機械の日(毎年8月7日)・機械週間(同8月1~7日)の企画行事として、幼児から中学生までを対象にした「絵画コンテスト」の応募作品を基に、それらを実際に実現するためのステップを考察(バックキャスト)し、未来の機械工学を想像することを目的にしている。

「お題」を読み解く

 今回の「お題」は、2016年度作品から選ばれた「機械の中部点検」である(図1)。まず、タイトルの「中部」は、作品から判断して「内部」と読み替えてよさそうである。作者によれば「機械の中に人が小さくなって入って目でかくにんできないような小さなトラブルを見つけているところ。」である。この課題は頭の固くなった我々おじさんたちにとって難題だが、可能な限り作品の意図を損なわないよう考えてみよう。

図1 お題「機械の中部点検」
図1 お題「機械の中部点検」
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 最も重要なポイントはサイズ感である。「機械」もさまざまなサイズが想定できるが、作中の多くの歯車は1~100mmオーダーの“普通の”サイズと考えてよいだろう。一方、「人が小さくなって」には降参だ。空想世界ならともかく、物理的に合理性がなければ技術課題として成立させられない。そこで人の代わりに「何か小さなもの」が機械内に入ることで、あたかも人が機械の中に入っているような状態が実現できるとさせてもらおう。この「何か小さなもの」は、作中の小さくなった人と歯車がほぼ同サイズだから、歯車程度のサイズとしてよいだろう。

 もう一つの重要なポイントは、どういう「点検」をするかだ。「小さなトラブル」が具体的に何かは目をつぶるが、「目でかくにんできないような」ものを「見つける」とは、どういう意味だろう。作者に詳しく教わりたいところだが、ここでは「小さくなった人なら見つけることができるもの」と解釈させてもらう。

 ところで、作品中の小さくなった人は、バインダー様のものを持ち通信用ヘッドセットを身につけているが、そのほかの測定機器などは持っていない。つまり、五感を頼りに小さなトラブルを見つけるようだ。すると、この「お題」は、五感に相当するセンサー以外の測定機器をあえて使わないところにむしろ新規性があるといえよう。

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