本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第121巻第1190号(2018年1月)pp.14-15に掲載された「ソルトレイクシティでの大学生活と子育てを通して」の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)

 きっかけは夫の1年間の米国ソルトレイクシティ赴任だった。同行する? しない? 行くなら大学での仕事は? 赴任先に受け入れてくれる研究機関は? 帰国後子供たちは保育園に戻れる?

 筆者は2016年11月から翌年8月まで、米国ユタ州ソルトレイクシティのユタ大学(University of Utah)の機械工学科(Department of Mechanical Engineering)にResearch Scholarとして滞在した。さまざまな課題がある中、家族で同行を決め、異国での大学生活や子育てを通して得た見聞の一部を記したい。

サバティカル制度でユタ大学へ

 課題は山積みだが行きたい。そこで早い段階で上長に相談し、大学のサバティカル制度を用いユタ大学への在籍を決めた。だが、機械工学科に筆者の専門(混相流)に関する研究者はいない。悩んだ末、DepartmentのChairにメールで事情を説明すると幸い返信があり、伝熱関係の教員を紹介いただいてProf. Keunhan(Kay)Parkの研究室にお世話になることになった。

 ソルトレイクシティ東部に位置するユタ大学は、医学、化学、人文科学、経済学、教育学、工学、芸術などの学部を有する総合大学だ。全学生約3万人に占める女性比率は46%。機械工学科で約12%と、日本と比較すると高い印象だ。教員も全38名中9名が女性で、筆者が知る研究機関の女性研究者の割合に比べ圧倒的に高い。

図 筆者の在籍していた工学部機械工学科のRio Tinto Kennecott Building
図 筆者の在籍していた工学部機械工学科のRio Tinto Kennecott Building
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 Departmentでは毎月1度、卒業生の女性研究者、技術者を招いて女子学生との昼食会が開催され、筆者も数回参加した。ある日は、NASAの土星探査機CassiniマネージャーのJulie Webster氏がゲストだった。同氏は化学工学と機械工学を学んだ経験や現在の仕事を語り、基礎学力の重要さを説いた。その後、フランクに話している中、一人の女子学生が目に涙をためながら話し始めた。ジェンダーの垣根が低いと考えていた米国で苦しむ女子学生が印象深かった。

 別の日のゲストは機械工学を学び、電力会社に勤める女性エンジニアで、未就学児2人を抱える彼女は私生活と仕事のバランスについて話した。そして、EメールやSkypeなどの便利なツールを上手に使うことが子育てと仕事を両立する秘訣と語った。筆者も滞在中の学生指導や研究相談にSkypeを多用し、改めて発達した通信ツールの便利さを実感した。

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