ハイバリアフィルムとは、水蒸気・酸素の透過を遮る、従来のフィルムよりも高いバリア性能を備えたフィルムであり、食品包装などに用いられる。近年では、有機ELディスプレイ等にも利用され始めている。

 ハイバリアフィルムにおける日本のポジションは、日本からの特許出願が主要国全体の8割を超え、技術開発で世界をリードしている。

 主な用途である食品包装では、国内需要が多いものの、海外市場を獲得していくことが当面の課題となっている。また、有機ELディスプレイ等に用いるハイバリアフィルムでは、特許出願が2010年から急増し、中国、韓国からの特許出願も増加しつつある。今後は、有機ELディスプレイ等の市場拡大を見据え、フレキシブル化や大面積化にも対応していくことが求められている。

 ハイバリアフィルムは、水蒸気や酸素の透過を防ぐために用いられるフィルム(バリアフィルム)よりも、高いバリア性能を備えたフィルムであって、基材フィルムに、水蒸気や酸素の透過を防ぐための特別な膜を設けているフィルムです。

 ハイバリアフィルムは、食品などの包装材として用いることで長期保存が可能になり、食品ロスの削減につながります。また、有機ELディスプレイ等のフレキシブル基板の部材としても欠かせないものです。

 このような背景の下で、「平成30年度特許出願技術動向調査」において、ハイバリアフィルムに関する市場動向、政策動向を調査するとともに、特許出願動向、研究開発動向等を水蒸気透過度のカテゴリーごとに調査・分析し、その実態を明らかにしました。その主な内容を本稿で紹介します。

図1【ハイバリアフィルムの技術俯瞰図】
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1.市場動向

国内の市場規模

 バリアフィルムの国内の市場規模は、微増推移となっています。バリアフィルムは、重量ベースでは約8割が食品包装用に使用されています。

主な応用産業の世界の市場規模

 食品包装市場は、2019年までに約3060億ドルに到達し、アジア太平洋地域の成長率が最も高いと予測されています。

 有機ELディスプレイ市場は2015年からの5年間で3倍以上の大きな市場拡大が予想されています。また、有機ELディスプレイ市場は、2020年には金額ベースの市場規模で液晶ディスプレイ市場の約50%に達するとも予想されています。

日系企業の海外での事業展開状況

 食品・包装材料事業にとって、成長著しい東南アジアは先進諸国への供給基地、市場としての魅力度が高い地域です。これらの地域は経済成長を背景に個人消費も増加、食品包装市場にも好影響が出始めており、今後、バリアフィルムの需要が期待できます。

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