三次元計測技術は、ものづくりにおける製品の外観検査、市場の急拡大が見込まれる自動運転システムにおける周辺環境の認識、航空機やドローンを活用した地形測量・地図作成、橋梁やトンネルといった老朽化が進む社会インフラの検査などの様々な分野に応用されている。我が国は、これまで、主流の方式である光学的測定方式において活発な技術開発・特許出願を行うなど、他国に対し比較優位であった。しかしながら、三次元計測技術全体の特許出願件数では2013年に、また、今後、自動運転の用途で急速に伸びるとされている光レーダ(LiDAR)の特許出願件数でも2014年に、中国に抜かれている。さらに、三次元計測したデータの利活用に関する我が国の特許出願は低調であり、他国に対し出遅れている可能性がある。我が国は、強みを持つ計測技術のさらなる高度化とあわせて、計測したデータの利活用を可能とする技術開発を進める必要がある。

 「三次元計測」とは、様々な測定方法を用いて、実世界である三次元空間において存在する対象物の位置・形状などを認識・測定する技術であり、ものづくりにおける製品の外観検査、市場の急拡大が見込まれる自動運転システムにおける周辺環境の認識、航空機やドローンを活用した地形測量・地図作成、橋梁やトンネルといった老朽化が進む社会インフラの検査などの様々な技術分野に応用することができる重要な技術です。このような背景のもと、技術開発の状況を把握し、技術競争力の状況と今後の展望について検討することを目的として、「平成30年度特許出願技術動向調査」を行い、三次元計測に関する市場動向、政策動向、特許出願動向等を調査して、その実態を明らかにしました。本調査の主要部分を本稿で紹介します。

 三次元計測に関する技術俯瞰図を図1に示します。三次元計測技術は、計測の対象物が、半導体集積回路の製造工程における10μm以下のミクロなものから、10cm程度の身近な大きさの部品の外観検査、さらには地形測量・地図作成や宇宙・航空機分野での10km以上のマクロな範囲までと極めて幅広く、また、測定項目も、輪郭や形状、距離、角度、表面粗さなど多岐にわたっています。したがって、対象物の規模と計測目的それぞれに応じた技術開発が行われています。

 測定方法は、非接触・高速での測定に適した光学的測定、高精度な測定に適した機械的測定、その他に分類しています。測定内容は、目的に応じて、輪郭、形状、高さ・深さ・厚みの分布、表面粗さ、距離、変位・移動量、角度・向き、曲率などがあります。応用・適用分野は、自動走行システム分野、製造分野、航空分野、測量分野、土木・建築・社会インフラ分野など多岐にわたります。解決すべき課題としては、高精度化、信頼性向上、測定対象・検出範囲の拡大、利便性向上、計測の高速化、機能的データ活用などがあります。注目技術としては、IoTを用いて、人工知能、拡張・仮想現実、ビッグデータ解析と統合した技術があります。

 本調査においては、測定方法、測定内容(測定データ)、応用・適用分野(測定データの利活用)、課題、注目技術といった観点(技術区分)で特許出願を整理し、技術開発の状況の把握を図ります。

図1 三次元計測の技術俯瞰図
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