超音波診断装置は、適切な使用の下では非侵襲であり、また、リアルタイムで診断対象の動きも観察することができるため、画像診断技術として近年ますます重要視されている。中でも、将来的に有望な技術としては、光音響・熱音響イメージング等のイメージング技術、ポータブル化時代に強みを発揮できるcMUTのプローブ技術、AIやビックデータを活用した先進技術などが挙げられる。そこで、日本は、多くの企業が技術シーズの創出や特許出願に積極的であるという強みを維持しつつ、上記したような技術に注力することが望まれる。また、日本は強みを持つ超音波診断装置のグローバル展開を進めていくために、自社製品保護とパテントクリアランスの両方の観点から、事業化を意識した特許出願戦略を練ることも望まれる。

 超音波診断装置は、被ばくがなく、適切な使用の下では非侵襲なので、妊婦や手術中の患者などにも長時間使用できる。また、リアルタイムで診断対象の動きまでも観察することができ、画像診断技術として近年ますます重要視されている。

 超音波を送信し、対象組織から反射した超音波を受信して、対象組織を観察し診断する基本的な超音波診断装置は、スマートフォン並みの大きさにまで小型化され、訪問医が容易に持ち運べるサイズとなってきている。更なる小型化により、患者が身に付けて、体内の状態などを常時観察することなどが可能となりつつある。また、対象組織に光を照射し、光の照射により対象組織が発する超音波を受信することにより、対象組織を観察する光音響・熱音響方式も可能となってきている。さらに、対象物を圧迫した場合と、圧迫しない場合の超音波診断画像を比較することにより、がん化した組織を特定する組織性状イメージングも可能となってきている。このように、光音響・熱音響、組織性状の測定技術により、組織の形態情報だけでなく、血流、血管の動き、血中酸素濃度、組織の硬さなどの機能情報も測定対象として広がりつつある(図1)。

図1 超音波診断装置の最近の進化
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 また、超音波診断装置は、医療、美容、介護、リハビリ、スポーツ分野などの幅広い使用が期待できる。このように幅広い応用が期待される一方で、診断に適した測定結果を得るには、プローブの当て方やパラメータ設定などに操作者の熟練を要することから、再現性のあるデータ取得が行える診断装置の開発という課題もある。

 本調査では、超音波診断装置に関わる最新の技術動向を明らかにし、日本が技術的優位性を確保するための今後の研究開発の方向性について、主に技術的側面から検討した。なお、超音波を人体に照射することで、がんなどを治療するための超音波治療装置は対象外とする。また、診断の対象はヒトだけでなくペットや家畜などの動物も診断の対象とするが、ビルや橋梁などの状態を見る非破壊検査装置は対象外とする。