ファインバブル技術は日本が世界に先行して見いだした革新技術であり、製造、利用、応用の各分野にわたって技術開発を行ってきた。国際標準化においても国際幹事国となるなど海外に比べて産業創出に向けて優位な位置を占めている。ファインバブル技術関連産業は、供給側から需要側まで多くのアプリケーションが関連する分野横断的なものであり、今後、大きな市場を有する産業となる可能性がある。現在、日本からの特許出願数は圧倒的であるが、将来、市場拡大した際に優位性を保つために知的財産権の保護、強化、そして、これらを有益な国際規格制定と連動させていくことが重要である。

 気泡は昔から極めて身近にあり、気泡を用いた技術は、生活の中でも飲料、水槽、浴槽など広く使われ、産業界でも浮遊選鉱や水質浄化などで古くから利用されてきました。

 近年、気泡が小さくなると様々な特性が現れ、予期しない効果が見出されました。これらの小さな気泡は「微細気泡」として様々な呼称が用いられていましたが、2013年に国際標準化機構において“微細な気泡”の定義や規格化が検討され、粒径100μm以下の気泡を「ファインバブル」と呼び、その他の気泡と区別することを提案しています。そして、ファインバブルの様々な特性を有用に活用しようとする技術がファインバブル技術です。

 ファインバブル技術は日本が世界に先行して見いだした革新技術であり、製造、利用、応用の各分野にわたって技術開発を行ってきています。日本は、国際標準化において国際幹事国となるなど海外に比べて産業創出に向けて優位な位置を占めています。この技術関連産業は、供給側では、製造装置メーカー、製造部品メーカー、計測器メーカー及びエンジニアリング会社等多くの企業が関連し、需要側でも、土木関連、医療関連、薬品関連、さらには農林水産関連まで多くのアプリケーションが関連する分野横断的特徴を有しています。今後、自動車、家電等と同様に日本を代表する基幹産業となり、さらには世界的にも大きな市場を有する将来型産業となる可能性を秘めています。

 しかし、ファインバブルの機能、効果等についての原理や機構が科学的に十分に解明できておらず技術自体がいまだ発展途上の段階です。同様に、ファインバブル技術を核とする革命的な商品が創出されるまでには至っておらず本格的な市場がいまだ形成されていない状況です。今後、国際標準化が整備され技術データベースの共通化が進み、また、計測技術等の著しい進歩により今まで未解明であった機構などの科学的解明が進み、技術開発が大きく前進して産業化が加速されるものと期待されています。

 このような背景の元、特許庁は、「平成28年度特許出願技術動向調査」においてファインバブル技術に関する市場動向、政策動向、特許出願動向、研究開発動向等の調査を行い、その実態を明らかにしました。本調査の主要部分を本稿で紹介します。

 本調査の技術俯瞰図を図1に示しました。ファインバブル技術は、以下の三つの要素技術、(1)ファインバブル発生技術、(2)ファインバブル計測技術、(3)ファインバブル応用技術から構成されています。

図1 ファインバブル技術の技術俯瞰図
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