本記事は、応用物理学会発行の機関誌『応用物理』、第87巻、第8号に掲載された「ナノバイオ技術のエレクトロニクスへの応用」の抜粋です。全文を閲覧するには応用物理学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(応用物理学会のホームページへのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(応用物理学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『応用物理』の最新号はこちら(各号の概要は会員登録なしで閲覧いただけます)。

 ナノバイオ技術は応用物理研究者の多くが興味を持ち,また研究を始めたいという要望があった分野です。しかし,研究を始めるにはバイオの専門用語や,バイオの知識が障壁となっていました。本稿では,まず代表的バイオ分子であるタンパク質に注目し,その基礎知識を俯瞰(ふかん)して説明することでバイオと応用物理学研究者の間の障壁を取り除くことを目指しました。前半はナノバイオのエレクトロニクス応用に必要な基礎知識を遺伝子からタンパク質作製,精製,分析,解析,基板への吸着について概説し,後半ではナノバイオの基礎となるいくつかの実験例と応用例について記述しています。

 今から40〜50 年ぐらい前に、応用物理学会の研究者たちが有機材料に取り組み始めました。その当時、応用物理学会の学術講演会で「亀の甲は苦手なのですが……」といった発言があちらこちらで聞かれ、有機の化学式が出るとお手上げだと言ってはばからない人もいました。今では、その有機エレクトロニクスが応用物理学会の大きな研究分野の1つとなっています。そして、20 年ほど前から本格的にバイオ関連の発表件数が増え始めたときも、「生物は不得意でして……」、「生ものはちょっと……」といった研究者が多くいました。しかし、今はたくさんのバイオ系、医用工学系の発表が行われています。これらは、物理学と研究者としての基礎があれば、どのような新規分野も応用物理の研究領域となることを示しています。今も応用物理は新規分野を開拓しており、ナノバイオもすでに応用物理の一分野として確立してきています。しかし、エレクトロニクスデバイスなどをナノバイオに応用することは定着しているものの、バイオを使ったデバイス作製のようなナノバイオのエレクトロニクスへの応用はまだこれからのように見えます。これはバイオ分野特有の言葉と常識が障壁となっているからだと思えますが、逆にこれを学べば、ナノバイオ技術はそれほど難しくありません。ナノバイオのエレクトロニクス応用は、案ずるより産むが易(やす)しです。

 本稿はこれまでの「解説」と異なり、ナノバイオのエレクトロニクス応用のための基礎と一部実例を概説するもので、専門的記述はありません。はじめにナノバイオ実験のための基礎知識を、そのあと筆者の研究例を記述します。

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